アビスパ福岡新監督 井原氏合意 「アジアの壁」と地域一体で再建へ
J2アビスパ福岡の来季監督に元日本代表DFの井原正巳氏(47)が就任することが23日、確実となった。複数の関係者が明かしたもので、交渉は大筋で合意に達したもよう。井原氏はJ1柏のヘッドコーチを務めており、12月6日のJ1最終節後に細部を詰めた上で年内にも発表される。23日のJ2最終節で福岡は熊本に1-3で敗れ、昨季を下回る16位でシーズンを終了。地に落ちたクラブの再建をアピールするため、井原氏の監督就任会見を福岡市役所で行う案も浮上している。
「井原アビスパ」を地域を挙げてバックアップする。複数の関係者の話を総合すると、井原氏と福岡の交渉は大筋で合意に達し、年内にも発表される運びとなった。監督就任会見の場所には福岡市役所が浮上。同市の協力を得て、広く市民にアピールする狙いだ。
アビスパは1996年のJリーグ参入から来季が20シーズン目。井原氏は延べ16人目の監督となる。近年の監督就任会見の場所はホテルや同市東区の雁の巣球技場がほとんどで、2006年のリトバルスキー氏も同市内のホテル。異例の「市役所会見」プランには、システムソフトが筆頭株主になり、経営危機を回避したクラブの再建への本気度がうかがえる。
井原氏は主に横浜Mで活躍し、現役時代は「アジアの壁」「ミスターマリノス」と呼ばれた名DFだ。国際Aマッチは歴代2位の通算122試合出場。日本代表として1993年の「ドーハの悲劇」を経験し、日本がワールドカップ(W杯)初出場を果たした98年フランス大会では、主将としてチームをまとめた。
今季の福岡は終盤に大失速。昨季の14位を下回る16位でシーズンを終えた。クラブは3年連続でJ1昇格がなくなった翌日の2日に、就任2年目のプシュニク監督に事実上の解任を通告。後任選びを進める中で、井原氏の実績と抜群の知名度に注目した。監督経験こそないものの、柏で6年間の長きに渡って名将ネルシーニョ監督の薫陶も受けており、再建を託すには問題ないと判断した。
強化責任者には現J1新潟スカウトの鈴木健仁氏(43)の就任が決定的。新潟コーチの元日本代表MF三浦文丈氏(44)にはヘッドコーチ就任を打診している。2人はともに井原氏の横浜M時代の同僚。名門を支えた「メンタリティー」を低迷する福岡に注ぎ込む。
=2014/11/24付 西日本スポーツ=