なぜ「死の行進」は止まらなかったのか

2014年11月23日(日)
〔PHOTO〕gettyimages

かつて先進的な労働条件を称えられたIBM。1992年にスマートフォンを開発するほどの技術があったにもかかわらず、同社は業界トップ企業の地位にあぐらをかき、顧客のニーズを見失ってしまう。

1993年、IBMは 80億ドルの損失を出し、大リストラを進めるが、サービスの質は失われていく。スマートフォンの技術も売却してしまった。

2007年にはコストカットに拍車がかかる。米国内人員の8割削減を目標とする大量解雇を実施。一人の優秀な人材より、スキルのない新興国の人間を2~3人雇ったほうが安上がりだと判断したのである。

その結果、株価は上昇するが、人材も技術も決定的に欠乏し、顧客の要請や不満は無視され続け、トラブルが頻発。次々に大型顧客が離れていった。

元IBM社員たちより膨大な取材を重ねて編まれた本書は、破滅の過程において、経営陣と社員の間にビジョンも情報も共有されていなかったことを明らかにする。

コミュニケーションを怠り、進むべき道を見失った企業の「死」は必然なのだ。

先読み担当/情報工場 http://www.joho-kojo.com

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The Decline and Fall of IBM
Robert X. Cringely NeRDTV. LLC

2014年6月刊行、邦訳版は祥伝社より2015年3月刊行予定

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