判決文を考察する前に後藤裁判控訴審判決主文からわかることをおさらいしてみる。
<控訴審判決主文>1. 控訴人の本件訴訟に基づき、原判決を次のとおり変更する。(1) 被控訴人(兄)、被控訴人(兄嫁)、被控訴人(妹)、被控訴人宮村、及び 被控訴人松永は連帯して、控訴人に対し、440万円及びこれに対する平成20年2月10日から支払いまで、年5分の割合による金員を支払え。(2) 被控訴人(兄)、被控訴人(兄嫁)、被控訴人(妹)、被控訴人宮村は連帯して、控訴人に対し、更に660万円、及びこれに対する平成20年2月10日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。(3) 被控訴人(兄)、被控訴人(兄嫁)、被控訴人(妹)は連帯して、控訴人に対し、更に1100万円及びこれに対する平成20年2月10日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。(4) 控訴審の被控訴人に対する請求、並びに、被控訴人(兄)、被控訴人(兄嫁)、被控訴人(妹)、被控訴人宮村及び被控訴人松永に対するその余の請求をいずれも棄却する。2. 被控訴人(兄)、被控訴人(兄嫁)、被控訴人(妹)、被控訴人宮村の本件各控訴をいずれも棄却する。3. 訴訟費用は、第一、二審を通じ、控訴人と被控訴人(兄)、被控訴人(兄嫁)、被控訴人(妹)との間に生じた部分はこれを2分し、その1を被控訴人(兄)、被控訴人(兄嫁)、被控訴人(妹)のその余を控訴人の各負担とし、控訴人と被控訴人宮村との間に生じた部分はこれを4分し、その1を被控訴人宮村の、その余を控訴人の各負担とし、控訴人と被控訴人松永との間に生じた部分はこれを10分し、その1を被控訴人松永の、その余を控訴人の各負担とし、控訴人と被控訴人法人との間に生じた部分は控訴人の負担とする。4. この判決は、第一項 (1) ないし、(3) に限り、仮に執行することができる。
最初の1文控訴人の本件訴訟に基づき、原判決を次のとおり変更する
この1文を読み上げた時点で福本弁護士は「よし」と小さくガッツポーズをしたという。<拉致監禁 by 宮村の裁判記録参照>これは控訴人は後藤徹氏のことであり、被告側ではなく後藤さんの主張によって原判決(1審)が変更になったことを福本弁護士が瞬時に理解されたからだ。つまり、この時点で後藤さんの控訴審の勝訴は確定したと言って良い。おそらく、この時点で被告側の弁護士軍団も後藤勝訴を理解し、血の気がひいたに違いないだろう。次に松永牧師、宮村峻氏の責任が問われる判決が下され、其々440万、660万円の損害賠償を支払えとなった。ところが、問題は(1)~(3)すべてに被控訴人(兄)、被控訴人(兄嫁)、被控訴人(妹)は連帯しての1文が入っている点である。
今回、認定された犯罪行為の主体は後藤兄妹と兄嫁である。宮村氏、松永牧師はその犯罪を幇助したとして共同不法行為責任を問われた。
まだ、判決が完全に確定に至ったわけではないが、どういうことがおきる可能性があるかというと、2200万円プラス遅延損害金を後藤兄妹と兄嫁がすべて支払い、宮村氏、松永牧師はびた一文支払わないということもおきうるということである。脱会を請け負う宮村、松永と後藤兄妹と兄嫁の力、上下関係は明らかであるから、現実味がある仮定ではなかろうか。
(3)で後藤兄妹と兄嫁は1100万円の損害賠償支払いを命じられており、これが後藤兄妹と兄嫁の負う最低金額となる。
ちなみに
2200万円の内訳は2000万円が慰謝料、200万円が弁護士費用である。
これについてはあとで詳しく書く予定。
(4)及び2で被告側の請求はすべて棄却されたことがわかる。控訴審において被告側の主張は全く採用されなかったということである。被告側一同が顔面蒼白になったことだろう。
3は、訴訟費用だが、これも大分お馴染みになってきた。後藤さんの訴えた金額は201618527円なので、訴訟費用は一審が626000円、控訴審が939000円程度となるはずだ。これを3で書かれてあるとおりの割合で支払えという判決。1審では後藤兄妹と兄嫁との間で生じた部分は40分して後藤兄妹と兄嫁が40分の1を支払えというものであり、宮村峻’との間で生じた部分は200分して宮村峻が200分の1を支払えという内容で被告負担分は小さな割合であった。
賠償金額総額に対して考えても、被告側の訴訟費用負担は高額、高割合となったと言えると思う。
アメリカで黒い稲妻といわれたテッド・パトリックが暗躍した時代、ディプログラマー(脱会屋)である彼自身が「拉致・監禁」の実行者でもあった。それゆえ、彼は幾度となく「不法・監禁罪」を問われ禁固刑になっている。日本の反対牧師、脱会屋はこの事例に学び、親を実行犯にすることで自身は親の影に隠れることに成功した。それで、いままで「牧師先生だけは守れ」という裁判戦術がなされてきた。一番、罪を問いたいのは宮村氏であり、松永牧師なのだ。もし、彼らが賠償金すべてを家族に押し付け逃げるなら、激しく非難する。
まだ最高裁がある?
最高裁判所
最高裁は法律審で上告理由は憲法違反と「その他若干」だそうです。「その他若干」のうちほとんどは「判決に理由を付せず、または理由に食い違いがあること」だという。
わかりずらい日本語だが、
こういうことだ
「判決に理由を付せず」とは、判決主文との関係で判決理由の全部または一部が欠けているか不明確で、主文の結論に至る過程が明らかでない場合。
「理由の食違い」とは判決理由自体に矛盾があるため、主文の結論に至る過程が明らかでない場合。
最高裁は、少なくとも民事裁判については、自らを法律審と自己規定し、原審(高裁まで)の事実認定が誤っているという主張には、基本的には耳を貸さないというのが一般的見解。
また、その他若干があっても上告理由は限られているので、「上告理由に当たらない」として棄却される場合が多いようだ。
後藤さんにおいても、例えば今回の賠償金額や事実認定に不服がある等という理由では上告棄却となるのは必至だろう。
敗訴した被告側も統一教会員相手で意地もあって上告してくる可能性は高いと考えられるが、上告棄却される可能性が高い思われるのは上記ゆえである。
ハードルはまだある。高額な裁判申し立て費用だ。
後藤さんの話では150万円くらいらしい。
私が調べたところでは1252000円程。いずれにせよ、高額には違いがない。
もちろん、申し立てを立てるだけでかかる費用。
上告棄却の可能性を考えると、理性的には口頭弁論に持ち込める可能性が低ければ低いほど、この費用はどぶに捨ててしまいかねない。
しかも、いたずらに時間がたてば、遅延損害金も加算されていくことになる。
遅延損害金の起算式は
賠償額(元金)×遅延損害金年率×□日÷365日 (□日返済が遅れた場合)
11/20/2014時点では
22,000,000 * 0.05 * 2476 / 365 =7,461,917
22,000,000+7,461,917=29,461,917 (少数点以下切捨てでの計算)
現在、賠償金額は29461917円になっており、日に日に増えている。
さらに、被告側には大きなハードルがある。
上告の流れはこうである。
控訴審判決が送られてきてから2週間以内に上告状を提出~上告提起通知書が送られてくるので、送られてきた日から50日以内に上告理由書を提出しなくてはならない。
端的に言って、 被告側としてはこの理由書にすべて勝負をかけるしかないのだ。
問題は、控訴理由書の場合と違って、1日でも遅れると、記録は最高裁に送られずに控訴審裁判所の段階で自動的に上告却下・上告受理申立却下となる。
控訴審で関係書類の提出がいつも遅れていた被告側としては、けっこう高いハードルではないかと思える。
「いやいや、あとで補充書を提出すればOKでしょ。」という声があるかもしれない。
もちろん、提出はできる。
しかし、元最高裁判事の故大野正男氏は著書でこう書き記している。
「上告理由の追加が理由補充書という形で提出されることがあるが、上告理由書の提出日は規則で定めてあるのだから、新しい主張はできないし、単なる補充であっても、よほどの理由のない限り精読しないのが通例である。」(「弁護士から裁判官へ」44ページ)
はたして、上告はあるのか?上告理由は何か?手続きは間に合うのか?
後藤さんも上告については、慎重に検討しているという。
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COMMENT
面白かった。
被告側が控訴するかどうか注目しています。
ふつうの感覚なら、しないでしょうね。「不当判決だ」と記者会見で息巻いたわけでもなく、意気消沈していたそうだから。
印紙代100万円以上を負担してまで・・・。それに遅延損害金が膨らむ一方だし。
代理人が報酬なしでいいから上告理由書を書きた~いと、頼んでも、印紙代と損害金のことを考えると、やっぱしなあ。
もうすでに、3000万円近く
計算ありがとうございます。もうすでに、3000万円近くになっているし、今も、一日、約3000円の "利子" が追加されています。もし、最高裁までいって、あと半年かかれば、完璧に3000万円の大台に乗ります。これは、被告側にとっては、プレッシャーではないかと考えます。