支出が収入が恒常的に上回り、赤字を借入で埋め合わせている企業の財務責任者が、「このままでは倒産→強引な手を使ってでも収入増and/or支出減を達成しなければならない」と考えるのは自然なことです。
日本政府の財務責任者=財務省も、このような発想になっているものと考えられます。「強引な手」の一つが消費税増税ということです。
しかしながら、政府ではなく国全体の財務責任者がいるとすれば、異なる考えを持つと思われます。
一般政府の負債の対GDP比は急上昇しているものの、企業の負債の対GDP比はバブル期のピークを大きく下回ったままなので、国内非金融部門全体では、負債の対GDP比はトレンドから逸脱していません(→負債は過剰ではない)。*1
“折れ線の傾き>トレンド線の傾き”の局面は景気拡大期、“折れ線の傾き<トレンド線の傾き”の局面は景気後退期とほぼ重なることは、政府の負債の拡大(←財政赤字)が日本経済を支えていたことを示しています。*2
日本国の財務責任者なら、民間部門が負債を増やし始める前に政府の負債の削減(または拡大の抑制)に着手するでしょうか。
- 作者: 軽部謙介,西野智彦
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自民党の幹事長だった加藤は、経済政策の参謀本部を日本は失っているとの思いをこう話す。
「政治の側がグランドストラテジーを立てたり、(日本経済という)身体全体の体温と血流を診ていたということは、少なくとも過去30年間なかったと言っていい」