幸せな結婚生活のための7つの秘訣:夫婦仲を良くするための心理学からのおすすめ
碓井 真史 | 社会心理学者/新潟青陵大学大学院教授/スクールカウンセラー
はじめに:現実を受け入れ、現実を変えるために
「生涯、愛し続けることを誓いますか」。大恋愛の末に、たしかに二人で「はい」と答えたのに。日本も、結婚したカップルの三組に一組が離婚する社会になりました(実際は若いカップルの離婚率の高さが、全体の数字を押し上げていますが)。ワイドショーでは、芸能人の結婚離婚ネタは定番です。それでも、できることなら、幸せな結婚生活を続けたい。そんな二人への心理学からのアドバイスです。
心理学者アルバート・エリス(論理療法で有名)は、著書『しあわせなカップルになるために』(ダイアモンド社)で、次の7つのポイントを紹介しています。
1 相手を変えようとしすぎず、ありのままに受け入れる。
二人は、ケンカするために一緒になったわけではありません。相手をもっと立派な人間にするために結婚したわけでもありません。二人で、幸せになるために結婚したはずです。私だって、相手に強制されたくない。相手だって、同じです。お互いに、アドバイスを聞く必要はあります。でも、お互いに無理じいすることはやめませんか。
相手がダメだから私は幸せになれない。そうおっしゃる方に同情はできます。友人相手にグチるのもよいでしょう。でもそんなことばかり考えて、相手を責めながら二人の生活を続けるよりも、しあわせになるために、もっと効果的なことをしましょう(二人の生活を終わりにするなら話は別ですが)。
2 感謝の気持ちを繰り返し伝えよう。
いつも怒ってばかり、文句ばかりの人もいますね。それでは、関係は壊れてしまいます。パートナーの尊敬できる部分、がんばっている部分を見つけて、ほめましょう。「ありがとう」を伝えましょう。何度でも、伝えましょう。
心で思っているだけではなく、言葉でも、カードでも、メールでも、きちんと伝えましょう。「ありがとう」、「お疲れさま」、「おいしいね」、「たすかるわ」、「いつもすまないね」、「すごい!」。
3 素直なコミュニケーションをとろう。
私とあなたは違う人間。違う意見、違う感情を持つのは当然です。お互いに表明し合って、お互いに認めあいましょう。コミュニケーションは、心のキャッチボール。ボールを投げないと始まりませんが、ボールを受け取らないとキャッチボールになりません。キャッチボールとか、輪になってのバレボールとか、ただボールが行き交うだけなのに、何か楽しいですよね。
4 二人の違いを認め合おう。
二人しかいないのですから、多数決はできません。力づくやおどしで相手に言うことをきかせても、うまくいきません。自分の意見だけ押し通しても、相手の言いなりになっても幸せになれません。
二人の違いを認め合った上で、ではどうするのかを考えましょう。愛想笑いでごまかすのではなく、具体的な妥協点、落としどころを探りましょう。
5 相手が目指している目標を応援しよう。
アニメ「サザエさん」で見た話です。ある日、お母さん(おフネさん)が「私、英会話を習おうと思うの」と話します。夫(波平さん)は、「それは良いことだ」と、妻が教室に通うための協力を申し出ます。
こんな二人なら、仲良くなりますよね。それが、無視したり、「ふん、お前にできるものか」と皮肉をいったりしたらどうでしょう。
パートナーは、応援し合う、支え合うもののはずです。
6 相手にも間違える権利があることを認める。
私自身も、私のパートナーも、間違える権利を持っています。意見も違う、考えも違う、不慣れな部分もある、欠点もある。人間はみんなそうでしょう。相手は、あなたの部下ではありません。「何やっているんだ!」「何やってるの!」そんな言葉で毎日傷ついている人がいます。
自分は何もせず相手に任せて、上手く行かなかったら責任を負わせ責め立てる。そんな人がいますけれども、幸せになりたいのなら、相手の失敗をフォローし合いましょう。
7 実現不可能な夢を追わず、現実的な目標を持とう。
ドラマに出てくるような理想的な相手はいません。相手が理想通りではないからといって、責めたり、泣いたりしても、仕方がないでしょう。こういう夫婦、こんな家族、こんな会話、こういう休日の過ごし方。手が届く、実現可能な目標を目指しましょう。
おわりに:一番大切なこと
あなた男でも女でも、「そうだ、そうだ、自分のパートナーはそんな人間だ、この記事を読ませなくては」と、思った人がいるでしょう。でも、相手に押しつけないでください。読むなら、二人で読みましょう。まず、自分自身が読みましょう。
エリスは、語っています。「これらの7つのことを、相手の態度にかかわらず、あなたがまず続けよう」と。私もあなたに押しつけません。誰もあなたに強要しません。ただ、幸せなカップルになりたいなら、こうすることが効果的だと、心理学者としてオススメいたします。
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