2014年02月01日

幼児の白血病発症例から考える 東京は大丈夫などという幻想は時間が木っ端微塵に打ち砕く

福島第一原発事故時に関東に居住しておられ、2011/7に西日本に避難された4歳の子どもさんが白血病を発症されたとのことで、誠にいたましい。一日も早い回復を願って止まない。

この子どもさんが住んでおられた地域は、強く汚染された由で、土壌汚染が強いところは、1kg当り7,000Bqだったという。

この汚染環境に仮に4ヶ月居住したとして、外部被曝はどれほどになるだろう。以下、計算の便宜上、屋内屋外の遮蔽率の違いは捨象し、常に土壌汚染に見合う線量を浴びたと仮定する。

土壌のセシウム濃度が高いところで、1kg当り7,000Bqほどとのことだから、平均値は少し低めに見て6,000Bq/kg強、又は4,500Bq/kgだと仮定しよう。平米当りセシウム密度は40万Bqから30万Bq。これに対応する空間線量率は1.45μSv/hから1.09μSv/hとなる

これに24時間と365日を乗ずると年間の被曝量が出る。濃厚汚染地域に4ヶ月居住したと仮定すれば、年間合計の3分の1が推定被曝量となる。3mSvから4mSv強と見込まれるが、高めの数値を取って4mSvの被曝が白血病発症の原因の一つとなったと想定しよう。

白血病の原因には、外部被曝以外に内部被曝もある。ただ、この子どもさんの場合、関東南部の濃厚汚染地帯にお住まいだったとすれば、生活行動のいかんにもよるが、初期被曝が特別に大きいとは見られないこと、汚染地帯での居住が4ヶ月に限られたこと、親御さんは早くから被曝回避の努力をしておられたと窺えるところから、外部被曝に注目する。



文部科学省の空中測定マップでは、関東南部には30万Bq/m^2の汚染は見られないが、常総生協の土壌測定では30万Bq/m^2以上の検出地点がマレなわけではない。

土壌汚染が強くないところでも長い期間暮らせば、被曝の累積量は大きくなる。次の表は、左側の空間線量率に応じて、3年間の累積被曝量がどれほどになるかを試算したものだ。

最初の表は減衰を考慮しない場合、次の表は減衰を考慮した場合だ。減衰の考慮がアバウトすぎるとの指摘はありうる。だが、最初の仮設例からしてアバウトなので減衰だけを厳密に計算しても意味はない。



この試算から、初期の空間線量率が0.17μSv/hほどあると、丸3年で4mSvに達する。空間線量率がこれより低ければ、4mSvに達するまでにさらに時間がかかるし、これより高ければ、2年程度で4mSvに達する場合もありうる。

次は、文部科学省の空中測定マップの2011/11/5時点の空間線量率だ。0.2μSv/h超の区域が広がっている。



木下黄太のブログ2013/7/4の記事に読者から次のような情報が寄せられたとある。
「白血病の6歳女児は、千葉県東部の総合病院に入院しております。そこでは、小児白血病が多発しており、無菌室が満床だそうなんです。そして、こわいことに白血病で入院しているほとんどの子供たちが茨城県在住で、茨城からその病院に入院しているそうです。」

上の試算から考えれば、茨城南部の空間線量率の高い地域では、2年強で白血病を発症する例が出てきうることになる。

ただ、ここで誤解してほしくないのは、白血病やがんは、被曝による確率的発症の疾病だということだ。同じ量の被曝をした人が同じように発症するわけではない。

発症する人もいれば、もっと後になって発症する、あるいは発症しないで終わる人もいるということだ。だから、高線量地帯に住んでいるからといって、白血病やがん発症は免れないと考えるのは間違いだ。

しかし、確率的発症であっても、被曝量が多くなればなるほど発症の可能性も高まる。これも間違いないだろう。

2012/12/15、ロシア科学アカデミーのアレクセイ・ヤブロコフ博士は講演で 「チェルノブイリ原発事故から25年、26年経って偽りのないデータを得ることができました。1μCi/m2=37,000 Bq/m2に住むすべての人々に何らかの健康被害が出ていることです」と述べた。1μCi/m2=37,000 Bq/m2の場所の空間線量率は0.13μSv/hに相当する。

東京には住めないとの見解に違和感や不安を覚える方がなお多いようだ。次の図は、「東京の汚染はやはりすごい これじゃ住めない 参考図」に掲げたものだ。初期の空間線量率が0.17μSv/hの場所などいくらもあるし、0.13μSv/hの場所ならさらに多い。



濃厚汚染地域でないから白血病は免れられるのではないかなどという楽観論は、幻想だ。時間がそうであることを証明し始めている。

神奈川県下でも子どもの白血病患者が増えているという。福島第一原発からの放射性物質の放出は止まっていない。

柏市、我孫子市の既成市街地から住民が逃げている 住み続ければ発病は免れないと知っている

福島県のほぼ全域で住民はなんらかの疾病を発症するだろう
posted by ZUKUNASHI at 19:23| Comment(2) | 原発事故健康被害
この記事へのコメント
はじめましていつも大変参考になる記事をありがとうございます。
わたしの故郷ではいまだにこのような状況に住まわせられているかたがたくさんおられます。
高校生、急性骨髄性白血病発症
海釣りにいき釣った魚を調理し食べた直後心肺停止
いろいろな健康被害の情報をきくことがおおくなりました。
中通りではストロンチウム89.90が合算で900ベクレルkg?
これからかなりの白血病患者が増加するでしょう
Posted by 中通りから避難した福島県民 at 2014年02月02日 12:57
正確にはと言えるかはわかりませんが、
中通り
文部科学省の土壌調査の結果
調査地点は1地点(鶴見坦) 
空間線量高いのある地点(赤ピン)
結果は
ストロンチウム89 1平米当たり 720ベクレル
ストロンチウム80 1平米当たり 190ベクレル
プルトニウム238      不検出
プルトニウム239+240  不検出
だそうです。
Posted by 中通りから避難した福島県民 at 2014年02月02日 14:43
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