米民間宇宙船:試験飛行中に爆発、2人死傷
毎日新聞 2014年11月01日 05時08分(最終更新 11月01日 12時44分)
【ロサンゼルス堀山明子】米西部カリフォルニア州ロサンゼルス北郊のモハーベ砂漠で10月31日午前10時(日本時間11月1日午前2時)ごろ、世界初の商業宇宙飛行を目指している米ヴァージンギャラクティック社の宇宙船「スペースシップ2」(全長約18メートル)が試験飛行中に爆発して墜落、飛行士1人が死亡し、1人が重傷を負った。同社は一般人を対象に来年初めにも宇宙飛行を開始する予定だった。
宇宙船の事故で死者が出たのは2003年2月に空中分解した米スペースシャトル「コロンビア」以来。
米国では28日にも民間の無人ロケットが爆発事故を起こしたばかり。相次ぐ事故で企業による宇宙開発計画に影響を与えそうだ。
米連邦航空局(FAA)の発表によると、宇宙船は事故現場近くの飛行場から母機の飛行機につり下げられ離陸し、母機と切り離された直後に墜落した。母機は支障なく帰還した。国家運輸安全委員会(NTSB)が現地に向かい、原因を調査する。
AP通信によると、宇宙船は切り離し後に爆発した。地元KABCテレビは、宇宙船の機体が中心部から折れ、周辺に残骸が飛び散った上空からの映像を報じた。地元の航空当局者によると、墜落前に爆発など異常を示す兆候は見られなかったという。スペースシップ2は2007年7月、地上でのロケットエンジン試験の際に爆発が起き、3人が死亡、3人が重傷を負っていた。
記者会見でヴァージンギャラクティック社のジョージ・ホワイトサイズ最高経営責任者(CEO)は「宇宙は厳しい。将来も今回のように厳しい状況だろう」と今後の計画の遅れを示唆した。
同社は、一般人を対象に20万ドル(約2200万円)で数分間の無重力を体験し、高度110キロの宇宙空間を眺める「宇宙旅行」を発表。日本人を含む700人以上が予約し、昨年から価格が25万ドルに値上げされるほどの人気だった。
同社は英ヴァージン・グループ傘下の企業。初の宇宙飛行には創業者のリチャード・ブランソン氏が搭乗する予定。ブランソン氏はツイッターで「ショックを受けた。チームと合流するため直ちにモハーベ砂漠に向かう」と述べた。