衆院選:過去5回の「師走選挙」…与野党どちらに有利か 

毎日新聞 2014年11月22日 11時29分(最終更新 11月22日 11時49分)

現行憲法下の師走選挙(12月投開票の衆院選)
現行憲法下の師走選挙(12月投開票の衆院選)

 衆院が21日に解散され、12月2日公示−14日投開票の「師走選挙」が走り出した。忙しい時期であるのに加え、北国では積雪もあり、投票率も気になるところだ。野党からは「与党に有利なタイミング」と恨み節も聞こえるが、現行憲法下で行われた過去5回の12月衆院選を見る限り、自民党は議席の増減でみれば2勝3敗だ。

 一般的に低投票率になれば、有力な支持団体を持つ自民、公明両党が有利になるとの見方は根強い。

 民主党の中堅議員は「雪が降る中での選挙は大変だ。低投票率で組織選挙を展開する与党に有利。そこまで計算して解散したんだろう」と指摘。同党若手議員も「年末に選挙したら、無党派層の有権者は足を運んでくれない」と語る。

 戦後、最初の師走選挙は1969年12月27日。過去、最も大みそかに近かった。米国と沖縄返還で合意した佐藤栄作首相がその成果を掲げて衆院を解散し「沖縄解散」と呼ばれる。自民党は288議席(定数486)で圧勝した。投票率は68.51%で、70%台の投票率が続いた60年代の衆院選で唯一、60%台。低投票率というよりは、沖縄返還の成果が大きかったようだ。

 逆に日中国交正常化後に田中角栄首相が打って出た72年12月10日の衆院選の投票率は71.76%。70%台に回復したが、自民党は26議席減の271議席(定数491)にとどまった。

 旅客機受注をめぐる政界汚職・ロッキード事件で田中前首相(当時)が逮捕された後の76年12月5日の衆院選は73.45%と比較的高い投票率だったが、新自由クラブ結党による保守分裂選挙となり、16議席減の249議席(定数511)。自民党は初の過半数割れとなった。同事件判決後の83年12月18日の衆院選は67.94%と低投票率だったが、36議席減の250議席(定数同)に低迷した。

 一方、安倍晋三首相が返り咲いた2012年12月16日の衆院選の投票率は戦後最低の59.32%だったが、自民党は倍増以上の294議席で大勝した。

 同じ12月でも投票率には高低があり、投票率だけで選挙結果を推し量ることは難しい。時の争点がどのような盛り上がりを見せるかがより重要と言えそうだ。

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