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 大阪市内を中心に活動する市民グループ「住みよいまち&絆研究所」が、昭和に撮影された写真から地域の思い出をたどった小冊子「タイムトリップ」を作った。現在の風景との比較から、今のまちづくりを考えてもらう狙いで、代表の奥野修さん(53)は「古い写真を見て懐かしむだけでなく、過去を知ることで今と未来の街を考える手がかりにしたい」と話す。

 10月に完成した小冊子は「上町台地」(大阪市中央区、天王寺区周辺)、「すみよし」(住吉大社周辺)、「東成」(東成区周辺)の3分冊。グループは2010年に設立され、メンバーの一人が街づくりに関わっていた上町台地から古写真活用プロジェクトを開始。関西大学の大阪都市遺産研究センターの協力を得るなどして昭和20~30年代の写真を中心に収集。撮影された場所を訪ねるツアーや展示会を企画し、東成と住吉地域にも活動を広げた。一般の人からも写真を募集したところ300枚近い写真が寄せられ、これまでの活動を小冊子にまとめた。

 住吉で写真を展示し、感想などを語り合うサロンを開いた際には、大勢の子どもが映る古い写真を見た高齢の男性が「これ、わしや!」と一言。約80年前の祭りで山車の「布団太鼓」が繰り出した際の記念写真とわかり、男性が思い出話をして盛り上がったという。