でかい仕事が終わり、一息つきました。
すっっげええ疲れましたが……まあいつものことなので別にいいかって感じです。
一息ついて、なんだか賢者モードに近い感じなので、ちょっとここで自分のしごとの話をしてみようかと思います。
えー、時々ちらっと言ったこともあるかと思うのですが、僕はテレビ番組のVTRディレクターをしています。
で、僕の勤めている会社は小さいので、撮影から編集から収録まで全部自分でやることになります。他を知らないのでなんとも言えないですが、とりあえず僕はクソ大変です。
で、まあ大変なんですよ。テレビを作るっていうのは。
自分の整理も含めて、テレビの作り方を説明していきます。
ただ僕がしていることなので、全部のテレビがこう作られているわけではないよーということだけは注釈しておきます。
僕が担当しているのはドキュメントVTRが多いです。
いわゆるバラエティの中でのワンコーナーで紹介されるVTRとかそんな感じ。
わかりやすく言うとなんだろ……世界まる見えとかで「凄惨な事件に巻き込まれて大病を患ったけど、奇跡の復活をとげた子供」みたいなの流れるじゃないですか。
ああいうのを作ってます。
わかりやすいのかなこの例え笑
準備をするよ!
僕の場合は2週間に1本の番組を仕上げなければいけません。
1回の収録で2週分録るので、このサイクルなんですね。
まずは会議であーだこーだとVTRの内容を決めます。ここでは根幹を決めるだけで、細部は決めません。なぜなら細部を決めてもどうせ変わるからです。
とりあえず今回は「ある企画を立ち上げた◯◯さんに迫る」って感じのVTRを作るってことにしましょう。
おおまか内容が決まったら、準備を始めましょう。
まずは取材したい人や場所にアポをとったりします。
この場合でいうと「◯◯さん」や「◯◯さんが普段使っているお店」や「◯◯さんに親しい人物」などですね。
まああとは小道具を揃えたり、細々とした雑務が多いですね。
例えば◯◯さんが書道家ならば、墨で汚れてもいい部屋を用意するとか。料理家ならばキッチンがあるスタジオを借りるとか……そんな感じです。
撮影や取材は生ものなので事前の準備がものをいいます。
とにかく入念に準備します。この時間は地味に辛いです。
撮りたい日に撮影に携わる全員の予定が合致する!なんてことはまあ大体なくて、その為の根回しをすることもあります。
簡単に言うと「(本当は空いているけど)◯◯の場所はこの日しか空いてません」とかそういう類の嘘情報を伝えたりして、無理やり予定を合わせます。
まあどの業界もやってると思いますけど、大概立場の弱い人が嘘をつかれます。クソですね。
まあ僕はこの方法が嫌いなので、全員が納得できる日付をなんとか探します。大抵土日です。
こんな感じで僕の休みが減っていきます。ナンテコッタ。
撮影をするよ!
さて、次に行うのは撮影です。
重たいカメラを抱えて撮影したり、時に外部のカメラマンを雇ったりして撮りたい絵を吟味していき、撮影していきます。
番組に必要な撮りたいものが完璧に撮れることは稀で、だいたい後々に「アレがない!」とか「コレがあればなあ……」となることがほとんどです。
例えばモンハンとかなら素材が集まるまでトライ・アンド・エラーできますけど、テレビは収録日時が決まっております。ある程度の諦めは必要です。
テレビは基本的にある程度の諦めと妥協で出来上がっています。
これは間違いなく少なからずどの番組にもあると思います。完璧なテレビ番組なんて存在しません。
あまりに素材が足りないと時間をつくって、代替品を撮影したり作成したりしていきます。なんとかテレビを成り立たせる為に、様々な工夫と発想が強いられる時間です。大体この作業は休日に行われます。
僕の休日はこうやって減るわけです。ナンテコッタ。
編集するよ!
ある程度素材を集めたら、次は編集にとりかかります。
まとまりのないいくつかの映像を切ったり貼ったりして、ひとつの映像にしあげていくわけです。
ぶっちゃけ編集が一番大変です。僕の仕事の主軸はここにあります。
「なんの仕事してるんですかー?」と聞かれたときは「映像編集とかしてます」と答えることが多いです。
編集するには基本的にファイナルカットと呼ばれる……いや、この話はいいや。めんどくさいし、専門的になるのでやめます。とりあえず、いろんなパソコンソフトを使ったりするので、頭と目が疲れるということです。
編集は作りたいものによって趣旨が異なるのですが……今回ぼくは「◯◯さんに迫るドキュメンタリー」を作らなければいけません。
ドキュメンタリーを作る場合の「編集」は「現代文のテスト」みたいな感じです。
「◯◯の心情にあった一文を抜き出せ」とか「××に該当する情景を傍線部から選べ」とかそういう感じのやつ。
あれを延々とやっている感じに近いです。
物語を破綻させないために物語を構築し、視聴者が一度みただけで理解できるように整理し、なにが伝えたいのか提示して映像化する。
これは国語のテストに近いものがあるなーと編集するたびに思います。
一番大変ですが、一番やりがいもあります。
しかし僕が勤める会社は編集作業は土日に行われます。
専用の機械を使うには予約が必要なことが多く、編集作業自体も時間がかかるため、比較的予約がとりやすく、他業務がないことが多い土日に作業を進めるのです。
まあつまり……そういうことですね。ナンテコッタ。
収録するよ!
ぶっちゃけこれはもう観てるだけのことが多いです。
映像をつくった段階でほぼほぼ僕の仕事は終えているので……実際タレントの方が収録しているときには、ぼーっと観ていることが多いですね。
タレントさんが自分の映像に感想を述べているとこを観ると「あー一仕事終えたなー」という感慨が湧き上がってきます。
この段階で映像にナレーションをつけることもあります。
事前にナレーションをつけるときもありますが、ナレーターが司会をつとめる番組のときは、映像をみながら生で声を録ることもあります。
プロのナレーターさんに自分が用意した文章を読んでもらうわけですが、そこで不躾に「もうちょっと抑揚をつけて」とか「ここだけ声色変えて」とか注文をつけていくわけです。
ナレーターさんがよく言われるのですが、僕のつくるナレーションはナレーション向きではない……とよく言われますね笑
ナレーションにおいて一番重要なのは「わかりやすさ」だといいます。
耳で聴いて即座に理解できる言葉が大切なんです。
↑の文章で言えば「即座」ではなく「すぐに」とかに変えると聞いてるほうとしてはわかりやすいですよね?
そういうことです。
僕の言葉は、いつも「くどい」と言われます笑
情熱が迸りすぎて無駄に長くなったり、言葉を増やしたりするんです。
要はあれですね、詰め込みすぎるんですね、情報を。
あれもこれも書かなければ! となっているんですよ。
そうこの文章みたいにね。
ナンテコッタ。
まとめ「毎回奇跡だよ!」
なっげ!!!
この文章も、テレビをつくる過程もなげえ……。
で、収録されたものが、お茶の間に流れるわけです。
本放送(実際テレビに流れる映像のこと)はほとんど観ません。
そんなことしてる暇がない、ってのもありますが……繰り返し観すぎて、内容を完璧に覚えているので意味がないんです。
見返すとしたら、もっと期間が空いて冷静に見返せるようになってからですね。
テレビを作ってて思うのは「毎回、地味な奇跡を起こしてるなー」ってことです。
例えばVTR出演者だって、予定が合致しなかったら撮影できないわけですよ。けど、本当に奇跡的に予定が合う日があって撮影できたりするんです。
撮影もうまくいく保障なんてないんです。その日しか撮影できないのに、カメラが突然ぶっ壊れたりとか結構あるんです。
あまりに膨大な資料を前に編集が終わらないことだってあるんです。
それでもなんとか撮影して、編集して、収録して、お茶の間に届けてるんです。
これは毎回奇跡の連続なんだよなーと思うことがあります。
当たり前にこなしてるけど、結構いろいろと奇跡は頻繁に起きてるんだと思います。
別にテレビだけに限らず……どんなことでもそうなんですよ。
漫画でも飲食でもスーパーのレジ打ちでも、なんでもそう。
その人が健康でそこで働いているだけで、結構なレベルの奇跡なんですよ。
奇跡なんて大して珍しいもんでもないってことですよ。
で、奇跡は既に起きているのに、毎週「面白い!」と思われるものをつくるのは、更に凄い奇跡ですよね。
まあでもそれが「当たり前」とされているのはどうなのかなーと思いつつ、それが「当たり前」でなきゃいけないんだよな……と思い直すわけです。
テレビで放映するからには、絶対面白いと思ってもらいたいわけです。
ということで、来週も頑張ります。
来週もバッチリ奇跡を起こして、お茶の間に映像を届けたいと思います。
……
…………
………………
まあ僕、テレビ嫌いなんですけどね……。
たぶん年に50時間も観てないくらい嫌い。
じゃあなんでテレビ業界で働いてんの? ってのは、いつか話せたらいいなあ。