公明党が、安倍首相と手を携えて衆院選に臨む。

 17日の結党50周年パーティーに駆けつけた首相はあいさつで「天気晴朗なれども波高し」と語りかけた。

 日本海海戦の直前、連合艦隊が打電した一節に、衆院解散のサインを込めたのだろう。

 今なぜ解散か。わかりにくい衆院選のタイミング。そこには連立を組む公明党の意向が反映されたという見方がある。

 ▼来春の統一地方選と重なるのは避けたい

 ▼再来年の参院選とのダブル選挙も避けたい

 ▼消費税10%への引き上げと同時に軽減税率を導入したい

 結果として年末解散に持ち込んだ公明党は、軽減税率の実現を前面に押し立て、選挙戦を乗り切ろうとしている。

 だが、安倍政権の一翼を担う政党として、ほかにも語るべき重要な論点がある。集団的自衛権の行使容認の問題だ。

 統一地方選後、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の再改定と、安全保障法制の国会審議が控えている。

 7月の閣議決定の「武力行使の新3要件」の解釈で与党内の見解は食い違ったままだ。

 公明党は「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」という新要件を厳格にとらえ、日本周辺の事態にしか対応できないと説明してきた。これを法律で担保できるかが問われる。

 ならば公明党の公約に、こうした主張を明確に盛り込むべきだ。そこをあいまいにして、選挙が終わればうやむやという話は通らない。

 安倍首相の率いる自民党と連立する意味についても、丁寧に説明してほしい。

 自公連立の一つの断面があらわになったのが、先の沖縄県知事選だろう。公明党は、自民党と同調せず、地元の民意を踏まえて自主投票とした。

 政権は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を進める姿勢を崩していない。埋め立て工事を強行したとき、公明党はどう対応するのか。

 それだけではない。首相の視野には憲法改正や国防軍の創設も入っている。首相の国家観を容認するのか、しないのか。

 異論があれば、公党として堂々と主張すべきだ。連立にひそむ亀裂を放置すれば、いつか「平和の党」の看板を下ろすことにもなりかねない。

 結党半世紀を経た今、次の50年を見据えて、公明党は何を語るのか。衆院選で大きな道筋を示してもらいたい。