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【大相撲】

逸ノ城、新関脇での勝ち越しに王手 苦手な栃ノ心に寄り切り勝ち

2014年11月22日 紙面から

栃ノ心を寄り切りで下した逸ノ城=福岡国際センターで(佐々木彰尚撮影)

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◇九州場所<13日目>

(21日・福岡国際センター)

 逸ノ城(21)=湊=が過去2戦2敗と苦手にしていた栃ノ心を寄り切りで下して7勝目、新関脇での勝ち越しに王手をかけた。賜杯争いでは横綱白鵬が大関琴奨菊を上手投げで退けて1敗を守り、単独首位に立ったが、並走していた鶴竜は日馬富士との横綱対決で寄り切られ、2敗目を喫した。14日目に白鵬が日馬富士に勝ち、結びの一番で鶴竜が琴奨菊に敗れると、白鵬の大鵬に並ぶ史上最多32度目の優勝が決まる。大関稀勢の里は10勝目。琴奨菊は7敗目で、かど番へ後がなくなった。十両は時天空が3敗でトップ。

 絶対負けるもんか−。そんな執念にも似た感情がにじみ出ていた。立ち合いで右四つに組んだ逸ノ城は栃ノ心の力強い寄りを何度もこらえると、タイミングを見計らって前に出ながら寄り切った。プロ入り後、同一相手に2度黒星を喫したのが白鵬と栃ノ心。その1人から初白星を挙げ、初々しさが残る逸ノ城スマイルを久々に取り戻した。

 「腕がカチカチっす。相手が寄ってきた時に残したのがよかった。相手も力、強かったっす。自信はあった。今日が一番良かったと思う」

 記憶に新しい名古屋場所千秋楽。十両だった逸ノ城は栃ノ心と本割、優勝決定戦と2度対戦。どちらも投げにいったところを突かれて寄り切られた。「自分の型になって負けた。次は絶対負けたくない」。直後の秋場所新入幕会見でそう強く決意表明していた。2場所ぶりに実現した因縁の対決。熱のこもった取組に今場所5度目の大入りとなった館内の6300人も盛り上がった。

 力自慢の栃ノ心を上回るパワーを発揮するためには強靱(きょうじん)な足腰が必要だ。しかし、逸ノ城は右膝に“爆弾”を抱える。相撲留学していた鳥取城北高1年の時に靱帯(じんたい)断裂という全治3カ月の重傷を負った。今でも時々痛くなることがあるという。「今日は全然大丈夫」。不安要素を一切感じさせないところも逸ノ城の強さだ。

 幕下付け出しから所要5場所で昭和以降最速となった新関脇での勝ち越しに王手をかけても「あと2番あるので集中していきたいです」と星勘定は気にしない。支度部屋を出る前、逸ノ城は報道陣にとびきりのスマイルを振りまいたが、迎えの車に乗り込む前には表情をグッと引き締めていた。14日目に目標だった勝ち越しを決める。そんな決意にも見えた。 (永井響太)

 

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