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 今後の国内景気への懸念材料を、主要企業100社への景気アンケートでたずねたところ、58社が「個人消費の停滞」を挙げた。昨春以降の4回の調査では最多となり、「海外経済の先行き」を初めて上回った。4月の消費税率引き上げの後、個人消費に勢いが戻らないことへの不安が広がっている。

 朝日新聞の景気アンケートは年2回行い、原則として経営トップに面談している。今回は11月4~14日に調査した。

 国内の景気の懸念材料は、「企業収益の悪化」「消費税率10%への引き上げ」「個人消費の停滞」「海外経済の先行き」など、18項目から二つまで選んでもらった。直近の3回の調査は「海外経済」が最も多かったが、今回は「個人消費」が最多となった。

 大企業の多くは業績を伸ばしているが、日本ハムの畑佳秀常務は「消費者が値段に敏感になった。消費者全体の景気がよくなっているとはまだ言えない」、キヤノンの田中稔三副社長は、個人消費など国内の景気の状況について「6、7月と落ち込みが拡大し、今も長引いている」と話す。

 今年度末(来年3月)の景気を現時点と比べたときの見通しは、「拡大」「拡大の兆し」が計75社。あわせて90社だった前回6月調査より、15社減った。「後退」「後退の兆し」は、ともにゼロだった。

 現在の国内の景況感では、「拡大」と答えた企業は前回に続いてゼロだった。「緩やかに拡大」は前回より12社減って56社で、「足踏み状態」は前回より14社増えて42社だった。楽観的な見方が減ってきていることが、うかがえる。一方、「後退」と「緩やかに後退」を選んだのは前回は合わせて4社あったが、今回は2社に減った。

 日本マクドナルドホールディングス(HD)の青木岳彦上席執行役員は「円安と株高で景気が良くなった感はあるが、消費の現場はどうもそうではない。小売りや飲食業では、需要が増えた実感はない」と話す。

 オリックスの井上亮社長は「地方景気はまだら模様だ」と懸念する。今夏は各地で天候不順に見舞われたこともあり、「日焼け止めや制汗剤を使う回数、洗濯の回数も減った」(花王の沢田道隆社長)という声もあった。

 個人消費の力強さを指摘する意見もある。TOTOの張本邦雄会長は「良いものにはお金を使うという、高額消費は戻ってきている」と話す。一時は落ち込んだショールームの来客数が、夏以降はほぼ前年並みに回復しているという。