小学校1年生、6歳の女児は住宅街の死角、自宅近くの雑木林に遺棄されていた。殺害し身体を切り刻んだ手口は残忍で、性的な犯行をも感じさせたという。悲劇は、なぜ防げなかったのか。一方、黙秘を続ける47歳の容疑者は経歴も職業も不詳、私生活もナゾだが、住民は「危険人物」と認識しており、捜査線上に浮かんだのも早かった。だが、兵庫県警の捜査は手間取り、全容解明が待たれている……。危険な隣人からどう子どもを守ればよいのか。事件の経緯を追い、核心に迫る。
◇あの男は危険人物、トラブルメーカー
◇自衛隊の勤務歴、酒を飲んで徘徊
◇初動捜査に疑問、取り調べは黙秘
◇危ない隣人から子どもを守るには…
女児が下校後に行方不明になったのは9月11日のことだ。遊ぶ約束をしていた同級生と自宅近くの祖母宅で待ち合わせたが、行き違いで会えず、そのまま行方がわからなくなった。その日のうちに母親(29)が通報し、兵庫県警は翌12日から公開捜査に踏み切った。
23日午後4時すぎ、捜索していた県警捜査員が、女児の自宅から約100メートルほどの場所にある雑木林で異臭に気づき、複数のポリ袋に入った遺体を発見した。行方不明からすでに12日が過ぎていた。
「遺体は腐敗がひどく、かなりの日数が経過していた。ポリ袋には、切断された首と両足があったが、腰、下腹部が入っていなかった。翌日の捜索で発見されたが、見るに堪えない状態。切断状況から性的な犯行をも感じさせた」(捜査関係者)
翌24日、県警は雑木林につながる階段脇のアパートに住む君野容疑者を死体遺棄容疑で逮捕した。遺体の入っていたポリ袋の中から、同容疑者の診察券やたばこの吸い殻が発見され、DNA鑑定で一致したことが逮捕の決め手となった。
その雑木林は住宅街からすぐの高台にある。だが、急な坂を上らなければならない。うっそうとした森のようで、昼でも人通りは少なく、夜には真っ暗になる。地元の人でも立ち入ることはほとんどない「死角」だ。
女児が通っていた小学校、下校後に立ち寄った祖母宅、女児の自宅、君野容疑者の自宅と遺体発見現場の雑木林。それらはすべて半径150メートル圏内にすっぽりと収まってしまう。女児をよく知る近所の人は、こう嘆いた。
「ほんと、人なつっこいねん。うちの犬を見たら『おばちゃん、犬、噛むかな』と言うので、『噛まへんけどほえるよ』と言うと、『そうか』と言いながら犬をなでていた。初対面の人にも物おじせず、話しかける。そんな性格を逆手にとられて、事件に巻き込まれてしまったのか」
周囲の住民に動揺が広がる一方で、君野容疑者のアパート近くに住む70代の女性は、こう吐き捨てた。
「あの男は、まさに危険人物や。『ワシの裸みてみい』とすごんでいた。ニュースで逮捕を知って、ついにやりよったと思った」
本誌は、同じアパートの住人が携帯電話で撮影した動画を入手。そこには「自覚してるんか、コラコラ」「睨みつけてるんか、コラ」などと、酒に酔ってすさまじい迫力で警官や住民に難癖をつける君野容疑者が映っている。
このような姿は日常茶飯事。頻繁に近所の酒屋で焼酎のカップ酒を2、3本買い求め、それを飲みながら、千鳥足で近所を徘徊していたという君野容疑者。際立つのは、女児への執着だ・・・
小学校1年生、6歳の女児は住宅街の死角、自宅近くの雑木林に遺棄されていた。殺害し身体を切り刻んだ手口は残忍で、性的な犯行をも感じさせたという。悲劇は、なぜ防げなかったのか。一方、黙秘を続ける47歳の容疑者は経歴も職業も不詳、私生活もナゾだが、住民は「危険人物」と認識しており、捜査線上に浮かんだのも早かった。だが、兵庫県警の捜査は手間取り、全容解明が待たれている……。危険な隣人からどう子どもを守ればよいのか。事件の経緯を追い、核心に迫る。[掲載]週刊朝日(2014年10月10日号、5200字)
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