鳩山氏の仰天発言を、韓国・ハンギョレ新聞(日本語電子版)が報じた

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 鳩山由紀夫元首相が19日、韓国・釜山での講演で、安倍晋三首相の対韓、対中外交を批判していたうえ、慰安婦問題で日本政府の謝罪と補償を求めたと、韓国・ハンギョレ新聞(日本語電子版)が報じた。国民を失望させた民主党政権の中心にいた人物の仰天発言だけに、与野党激突の衆院選への影響も十分考えられる。事実上の選挙戦に突入した民主党を震撼させそうだ。

 同紙によると、鳩山氏は釜山のホテルで開かれた「ハンギョレ釜山国際シンポジウム」で基調演説を行った。

 この中で、鳩山氏は「(安倍政権が)時代に逆行する政策を続けている」「(自身が首相のころは)韓日、中日ともに良好な関係にあったことに照らしてみれば、主に日本側に問題がある」などと批判したという。

 ただ、これは一部に事実誤認が見受けられる。

 日韓関係が悪化したのは、民主党政権時代の2012年8月、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領(当時)が、島根県・竹島に強行上陸し、天皇陛下への謝罪要求を突き付けてからである。日中関係が悪化したのも、やはり民主党政権時代の12年9月に、沖縄県・尖閣諸島を国有化してからだ。

 同紙によると、鳩山氏はさらに、慰安婦問題について、「日本軍が慰安婦を強制的に連れて行ったことに対する論議は重要でなく、慰安所を運営したという事実自体が重要だ」「日本政府は、慰安婦の補償問題解決などに積極的に取り組まなければならない」と語ったというのだ。

 慰安婦問題を徹底追及してきた拓殖大学の藤岡信勝客員教授は「想像を絶するひどさ。韓国紙の報道が事実ならば、鳩山氏は歴史的事実も踏まえず、韓国の代弁者になっているとしか思えない」といい、こう指摘する。

 「朝日新聞が大誤報と認めた、吉田清治氏の『韓国・済州島で慰安婦を強制連行した』という証言が、慰安婦問題の原点であり、鳩山氏の『重要でなく…』という発言はまったく当たらない。『日本軍が…慰安所を運営』という部分も、慰安所の経営は業者であり、日本軍は戦地で保護し、衛生検査をしていただけだ。『補償問題解決』とも語っているが、日韓基本条約やアジア女性基金を理解しているのか」

 藤岡氏は続ける。

 「鳩山氏の発言を聞く限り、論点をすり替えようとしている韓国の代弁をしているとしか思えない。鳩山氏は沖縄・普天間飛行場移設問題で、日米関係をおかしくし、沖縄県民も裏切った。彼による国益の損失は計り知れない。こんな人物を首相にした民主党の罪は極めて重い。今回の衆院選では、こうした点も投票の参考にすべきだ」

 鳩山氏に発言の真意などを聞くため、夕刊フジは21日午前、鳩山事務所に質問状を送った。約6時間後、事務所担当者は「(鳩山氏は)海外出張中なのでお答えできない」と返答してきた。