4人組だったNegiccoが1人脱退すると、残ったメンバーの心にすきま風が吹き抜けた。 しかし、何があっても無償で楽曲を提供し続ける作曲家connieの情熱により、毎年、新曲がリリースされる。 Nao☆「connieさんの曲を歌って、Negiccoの名前をみんなに広めたい! って思いでいっぱいでした。」 しかしこの時期、Negiccoの新曲は、メンバー自身とマネジャーとで、CDを手作りして売っていた。輝きたい少女たちにとって、手作りのCDを売ることは屈辱的に思われるが、彼女たちもマネージャーも楽しんでいた。前へ前へと突き進む強さがNegiccoにはある。 Kaede「友達から『歌詞カードに誤字脱字があったよ』と言われたり、『CD買ったのに曲が入っていなかったよ』と言われたこともありました(笑)」 手作りCDは3作に及ぶ。そんな時期に、広島の地方アイドルだったPerfumeがブレイクする。 Nao☆「すごくうらやましいなと思いました。PerfumeさんはNegiccoと同時期に下積みをずっとやっていて同じステージに立った事もあったから、どうしてこんなに差ができちゃったんだろう?って。でもPerfumeさんはNegiccoにとっていい憧れなんです。私たちよりも後発組が早いうちにCDデビューできるのを見ていいなあって思うこともあります。」 このまま芽が出ないのなら別の道を考えるしかないのか? 3人ともNegiccoとは違う将来を模索し始めていた。 |
意気消沈するメンバーのもとへ、思いもよらない話が舞い込んでくる。インターネットTV「GyaO」のオーディション番組『勝ち抜き!アイドル天国!! ヌキ天』(以下ヌキ天)である。4週勝ち抜くと賞金100万円とメジャーCDデビュー権を獲得できるのだ。 Nao☆「みんなそれぞれ辞めようと思うきっかけはあったんですけど、Negiccoを辞めようとすると辞めないきっかけができる。」 Meguは在籍する専門学校から「就職はどうするんだ?」と選択を迫られていた。 Megu「もしヌキ天に優勝したら就職を蹴ってもいいなと思ったんですけど、もし受からなかったらどうしよう? すごく悩みましたがNegiccoにもう一度賭けてみようって。」 |
残された道は、4週勝ち抜くか敗北しかない。切羽詰まったNegiccoの出場は、会場に異様な緊張感を生んでいた。楽曲の良さとメンバーキャラのユニークさ、誰もがうなずく優れたパフォーマンス。骨のあるルーキー誕生に、審査員らも舌を巻いた。しかし、4週めで落選。このままではもったいないと、初の再挑戦権を与えずにはいられなかったほどである。この頃、噂を聞きつけたネットユーザーのアクセスも急上昇、Negiccoブログには応援メッセージが殺到する。番組のスタジオへ新潟のファンがネギを持参して応援に駆けつける。 少女の夢と人生を賭けた懸命さに、4週めの落選もまた保留になるという異例事態に。2度の再チャレンジを見事クリアし、遂にNegiccoは優勝、第3代目ヌキ天クイーンとなる。 「今度こそメジャーデビューだ! CD出せるぞ!」 3人は手に手を取って喜び合った。夢が叶う! と思いきや、結果的にCDは出なかった。メジャーデビューの夢は、儚く消えたように思えたが…。(続く) |