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中国の「不沈空母」構築に警戒強める米 南シナ海の環礁埋め立て

産経新聞 11月22日(土)20時16分配信

 【ワシントン=青木伸行】中国が南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島にあるファイアリークロス(同・永暑)礁の埋め立てを進め、軍用滑走路とみられる施設の建設など、「不沈空母」ともいえるような軍事拠点を急ピッチで構築している。米国防総省は米軍の行動を阻む「接近阻止・領域拒否戦略」の一環で、防空識別圏の設定をにらんだ動きでもあるとみて警戒を強めている。

 国防総省筋は21日、ファイアリークロス礁で中国が大規模な埋め立て工事を行い、人工島を建設していることを確認し、「軍事用滑走路を建設するとみられる」と指摘した。

 一方、国際軍事専門誌IHSジェーンズ・ディフェンス・ウイークリーは同日、同礁の人工島を撮影した衛星画像を公開した。人工島は全長3千メートル、幅200〜300メートル。人工島とは別に、同礁の東側には大規模な軍港施設も建設されており、国防総省筋は、中国海軍艦船やタンカーが接岸できる規模だとしている。

 ファイアリークロス礁から約150キロのジョンソン南(赤瓜)礁でも、大規模な埋め立て工事が進んでおり、滑走路が建設されるとみられるほか、ガベン(南薫)礁とクアテロン(華陽)礁でも工事に着手した。4カ所の中でも、ファイアリークロス礁の埋め立てが最大規模だという。

 これに加え、中国船が居座り続けるスカボロー礁(黄岩島)でも、中国が軍施設の建設に踏み切るのは時間の問題だとみられている。既存の施設としては、ミスチーフ環礁(美済礁)とスービ(渚碧)礁にレーダー施設、パラセル(西沙)諸島ではウッディー(永興)島に滑走路と港湾施設、レーダーサイトを擁している。

 中国が軍事拠点の構築と拡張を急ぐのは、中国本土から遠い南シナ海で遠征作戦能力を確保しようとしているためだ。空母の運用などに加え、一連の拠点を使って米軍の行動を阻止する航空機と艦船、対空ミサイルなどによる軍事作戦の実施や、南シナ海に防空圏を拡大した場合の戦闘機の緊急発進が可能となる。

最終更新:11月22日(土)22時38分

産経新聞

 

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