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水星の高温環境に耐えろ 水星探査機ベピコロンボのMPOが試験へ

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Moving BepiColombo into ESA’s space simulator
Image credit: ESA–A. Le’Floch

 欧州宇宙機関(ESA)は11月17日、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)と共同で開発を進めている水星探査機ベピコロンボ(BepiColombo)の、欧州側が開発を担当している水星表面探査機(MPO)について、オランダのノールトウェイクにあるESAの欧州宇宙研究・技術センター(ESTEC)の大型宇宙シミュレーター(Large Space Simulator)への設置が完了したと発表した。

 MPOは、エアバス・ディフェンス&スペース社によって開発が進められており、すでに機体はほぼ完成し、機能試験も終えている。今回設置されたESTECの大型宇宙シミュレーターでは、宇宙空間の環境に、探査機や搭載機器などが耐えられるかどうかを確認する試験が行われる。

 特に、ベピコロンボが探査を行う水星は太陽に近いことから、探査機は常に350度を超える高温環境にさらされる。ESAはかつて、これほどの高熱環境で動く宇宙機を開発したことはない。またこのシミュレーターも、水星付近の高温環境を再現するため、改修が必要だったという。

 試験は11月19日から始まり、12月前半まで続く予定だ。

 一方、日本側が開発を担当している水星磁気圏探査機(MMO)の準備も進んでいる。MMOは2012年10月からJAXAにおいて総合試験が行われている最中で、今年6月23日には、科学機器の多層断熱材のベーキング作業が実施されている。また7月15日と16日には、水星での運用を模擬した運用試験も行われた。

 総合試験は今年の10月まで続き、2015年1月に開発完了審査を実施。それに通過すればESAへと送られ、MPOらと結合された状態での総合試験が行われる予定となっている。

 MPOとMMOは共に、マーキュリー・トランスファー・モジュール(MTM)と結合され、ロケットに搭載される。このMTMは電気推進エンジンと化学スラスターから構成されており、地球を周回する軌道からの脱出と宇宙航行、そして水星軌道への投入を担う。MTMの試験は来年春頃までに行われる予定だ。

 現在の予定では、ベピコロンボは2016年7月に、アリアン5 ECAロケットで打ち上げられることになっている。打ち上げ後、探査機はまず地球をフライバイし、続いて金星を2回フライバイする。そして5回の水星フライバイもこなし、2024年1月に水星を回る軌道に到着する。MPOとMMOはそれぞれ異なる軌道に投入され、共同観測を実施する予定だ。探査活動は約2年が計画されている。

 同計画はこれまでに予算超過と開発スケジュールの遅れに直面し、打ち上げも2年ほど遅れているが、現在は安定した状態にあり、これ以上の遅れは発生しない見込みだと伝えられている。

■Space in Images - 2014 - 11 - Moving BepiColombo into ESA’s space simulator
http://www.esa.int/spaceinimages/Images/2014/11/Moving_BepiColombo_into_ESA_s_space_simulator

Written by 鳥嶋 真也

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