「特攻」や「玉砕」は日本の伝統への背信行為だ
第3回 太平洋戦争での3つの誤り
ナショナリズムとは何か。日中韓で燃え上がる“憎悪の連鎖”を、どのようにして断ち切ればいいのか。新刊『日中韓を振り回すナショナリズムの正体』において、「自虐史観と居直り史観をともに排して、歴史を直視すれば、解決の道は見えてくる」と説いた保阪正康氏の講演を、3回に分けて載録する(2014年10月7日、丸善丸の内日本橋店で行われた講演内容を編集部でまとめました)。
来年迎える「戦後70年」という節目
来年(2015年)は戦後70年です。太平洋戦争が終わってから70年……。
時々、私は思いますけれど、日露戦争は1904~05年です。この日露戦争が1905年に終わって70年後は、1975年、昭和50年です。その昭和50年のとき、「戦後70年」と言ったでしょうか。言いませんでした。日露戦争が終わってから70年なんて言わなかった。
にもかかわらず、今、私たちは太平洋戦争が終わって70年の節目に、「戦後70年」と言います。なぜでしょうか。
それはわずか3年8カ月の太平洋戦争。それから8年の日中戦争、満州事変から始めれば14年の戦争。この、特に3年8カ月の戦争が、70年に匹敵するほどのいろいろな問題点を、われわれに残してくれたからなんですね。
われわれは戦後70年で、まだこの3年8カ月、あるいは8年の戦争を、十分に総括してないというか、整理していない。私たちは謙虚に、一生懸命、この戦争のことについて、ずうっと考えながら検証してきたわけです。それは、どこが悪くてどこがいいかという問題ではないと思うんですね。
それが70年経ったのに、きちんと検証し尽くしていない。これは後世に対しての大きな問題だと思います。
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