訃報:田中森一さん71歳=元特捜部検事、元弁護士
毎日新聞 2014年11月22日 12時44分(最終更新 11月22日 14時05分)
東京、大阪両地検の元特捜部検事で、巨額詐欺事件で実刑判決を受けた元弁護士の田中森一(たなか・もりかず)さんが22日、東京都内の病院で死去した。71歳。関係者によると胃がんを患っていた。
長崎県出身。岡山大在学中に司法試験に合格、1971年に検事になり、東京、大阪両地検の特捜部で撚糸(ねんし)工連事件や平和相互銀行事件を手掛けた。バブル全盛期の88年に弁護士に転身し、経済事件の被告や暴力団関係者の弁護人を務めた。
2000年3月、東京の石油卸商社「石橋産業」から約179億円の約束手形をだまし取ったとする詐欺事件で、「地下経済のフィクサー」と称された許永中(きょ・えいちゅう)氏(67)らと共に東京地検特捜部に逮捕され、懲役3年の実刑判決が確定した。
08年4月には別の詐欺事件で大阪地検特捜部に逮捕され、再び懲役3年の実刑となり収監された。事件によって08年に弁護士資格を失った。
07年には自身の半生をつづった「反転 闇社会の守護神と呼ばれて」(幻冬舎)を出版し、ベストセラーになった。刑務所を出た後は講演活動などをしたが、14年春に胃がんの手術を受け、闘病生活を送っていた。