勤務先用に書いたものの一部修正転載です。
前回、 善光寺のご住職でさえも絶対にみることのできない善光寺の御本尊、ホントは存在しないんじゃないのぉ?という疑問に対して、その昔存在が確認されたことは あるのだということ、また、結構昔の古いものみたいなもんで、損傷がとても激しくて、うっかり外に出せないんじゃないかというおはなしをいたしました。
さてさて、それでは善光寺の御本尊というのはどんだけ古いものなのでございましょうや。
善光寺の縁起では、だいたいこのようなおはなしとなっているようです。
むかーしむかし、西暦にして 602 年ともうしますから、かの聖徳太子なんかが現役でバリバリ政治をしていた時代のことですな。
本田善光 (ほんだよしみつ) というひとがおりまして、信濃から都に出張したときに、いや、当時の都ってどこなんだろうというのはありますが、本邦初の都城である藤原京ができるはるか 前のことでして、たぶん奈良県のどこかにあったんじゃないかと思いますけども、そちらのほうに出張してたときのおはなし。
たまたま難波の堀江、えーとこれは難波つまり大阪のあたりにあった運河のことらしいですけれども、そこを通りがかったところ、水のなかから「善光、善光」と自分の名を呼ぶ声が聞こえたと。これだから困っちゃいますねオカルトは。いやそういうこと言ってると話が進まないのでそこはスルーしまして。
で、なんだろうかと思っていると、水中より燦然と輝く阿弥陀三尊像がどどんとあらわれたと。
その阿弥陀像が語ってきかせる身の上話によりますと、なんとそれはいちばん最初に大陸から日本に仏教が公伝してきたとき、西暦にして 552 年に百済の聖明王から日本の欽明天皇におくられた仏像のうちの1体だということなんだそうな。
欽明天皇というひとは、せっかく仏像をプレゼントしてもらっちゃったものの、日本でも仏教やるかどうかについてはどうしたもんかと決められずに、側近の1人である蘇我馬子 (そがのうまこ) にもらったもの全部あずけて「あとおねがいね」と丸投げしちゃったんですな。
で、蘇我馬子は仏教を大変尊びまして、自分の娘とその2人の女性従者計3人を尼僧にして、日本での仏教の信仰を開始するわけです。
ところが欽明天皇の別の側近である物部守屋 (もののべのもりや) というひとは、蘇我馬子が外国の宗教なんぞをふりかざして勢力を拡大するのは大変気に入らんかったわけです。
日本にはそもそも神道があるんだからして、仏教なんかいらねーよ!とばかりにいろいろと妨害をしたそうなんですな。
で、 例えば疫病がはやったり、なんかちょっとでも悪いことがあると、「外国の神様なんか祀ってるから日本の神様が怒ったんだ!」などと難癖をつけては、蘇我馬 子が預かり祀っていた仏像をことごとく焼き討ちにしたり川に捨てたりということをして、大騒動だった時代があったのだそうです。
で、この難波の堀江から本田善光の前にあらわれた阿弥陀三尊像がご自分でおっしゃるには、自分はそのとき捨てられた仏像の1つだということなんだそうで。
まあそんなとんでもないものならこれは大切にしなければならぬということで、本田善光さんは信濃につれかえって大切にお祀りしたというのがはじまりなんだそうな。
定説では現在の長野県飯田市、というと長野の中でも愛知県にほど近いところなんですけども、そこにあります座光寺、またの名を元善光寺と いうお寺にお祀りしたといわれておりますが、最近の研究ではそもそも長野市 (新潟県寄り) の現在の善光寺のあるあたりにはそれ以前より土着の信仰があり、宗教的な拠点でだったそうで、実は最初からそこにこの阿弥陀三尊像を持ってきたのではない かという説もあるのだそうですが、まあ単なる野次馬であるこちらとしては、細かいところ実際どうだったのかは今後の研究をお待ちしたいというところです な。
そんなわけで、善光寺の御本尊、どんだけ古いのかというと、実は日本でいちばん古いんだということのようでして。
ちょっと古いらしいと思って調べ始めたら、いちばんてっぺんで古かったと。
まるでちょこっと Ingress しようと思って出かけたら、ついついえらい遠くまで出かけるはめになったみたいな。
なんのことやら意味がわかりませんですね、はいすみません。
一説によると、最初に伝わってきた仏像は阿弥陀像じゃなくて釈迦の半跏思惟像だったハズというツッコミもあるようですけども、まあその場で見てたわけではありませんしね。一緒にいくつか来たのかもしれないじゃないですか、知らんけど。
まとめると、善光寺というのは、実は日本でいちばん古い仏像 (の1つ) が祀られているお寺だったんですね。
というわけで、そんなめずらしいお寺の、数え7年 (実際は6年) に1度だけ行われる最大のお祭りが来年4月から5月にかけて執り行われるわけです。
「一生に一度は参れ」などと言われるほどのものではありそうですよね。
というわけで、いよいよあと5ヶ月少々となってまいりました。全国の皆様もこれを機に是非善光寺までお越しになる計画をたててみられてはいかがでしょうか。
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