モザイク処理が不十分なアダルトDVDを適切に審査せず流通させたとして、わいせつ図画販売ほう助罪などに問われた自主審査機関「日本ビデオ倫理協会」の元審査員根本英隆被告(70)ら3人の上告審判決で、最高裁第3小法廷は7日、被告側の上告を棄却した。
根本被告ら元審査員2人を罰金50万円、DVDソフト制作会社社長五郎川弘之被告(53)を懲役10月、執行猶予3年とした一、二審判決が確定する。
DVDのわいせつ性の有無や、わいせつ物の販売を禁じた刑法175条が表現の自由を保障する憲法に反するかどうかが争点。最高裁は1957年の「チャタレイ事件」判決などで「社会通念に従い、無駄に性欲を刺激させる露骨な描写があればわいせつに当たる」との基準を示し、同条も合憲と判断していた。
岡部喜代子裁判長はこうした判例を踏まえ「性的秩序の維持を目的とした刑法の規定は合理性がある」とし、わいせつ性を認めた一、二審の判断に誤りはないとした。
一、二審判決によると、根本被告らは2006年8月、DVDを不正に合格させ、メーカー側は同年10月から販売した。
3人の弁護側は「審査は適切でDVDはわいせつ図画に当たらない」と無罪を主張していたが、一審東京地裁は、モザイク処理が薄いとしてわいせつ性を認定し「協会は審査レベルを低下させ害悪を拡散させた」と指摘。二審の東京高裁も支持した。(共同)