中国:南沙諸島に滑走路建設か 軍事情報誌

毎日新聞 2014年11月22日 11時14分

 【ワシントン和田浩明】周辺諸国による領有権争いが続く南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で、中国が暗礁の一つを埋め立て、滑走路や軍用港湾施設の建設を目指していることを示すとみられる衛星写真を、国際軍事情報誌「IHSジェーンズ」(電子版)が20日報じた。同誌は「領有主張の取り下げを関係国に強いるか交渉力を強めるため」の工事と分析。同海域の緊張は今後も続きそうだ。

 問題の暗礁はファイアリー・クロス礁(中国名・永暑礁)。今月14日に撮影された衛星写真によれば、埋め立てによって長さ約3000メートル、幅200〜300メートルの島ができ、滑走路と航空機の収容施設が建設可能になっている。東部では軍事用の水上艦艇が利用可能な港湾施設の建設も進んでいるという。

 この暗礁には以前から中国海軍のコンクリート製駐屯施設が設置されていた。滑走路や港湾の建設目的とみられる埋め立ては今年6月ごろから報じられていた。ベトナムやフィリピンなど領有権を争う諸国にも近いことから、南シナ海での軍事支配力を高める意図があると米国などの専門家は分析していた。

 中国は南シナ海のほぼ全域に主権と権益が及ぶと主張。南沙諸島では複数の島の埋め立てを進め、ベトナム沖の西沙(英語名パラセル)諸島周辺で石油掘削も実施している。こうした動きを「挑発的」と批判し、国際法に基づく平和的紛争解決を求める米国とも対立している。

 南シナ海情勢については、今月13日に東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国と中国や日米露などが参加した東アジアサミットでも討議された。ASEANは法的拘束力を持つ紛争回避規則「行動規範」の早期策定に向けた中国との交渉加速を目指している。

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