公立八鹿(ようか)病院(兵庫県養父(やぶ)市)の男性医師=当時(34)=の自殺について、当時の上司による長時間労働とパワーハラスメントが原因だったとして、病院と、元上司個人の賠償責任を認め、計約8千万円の損害賠償を言い渡した25日の鳥取地裁米子支部判決。上杉英司裁判長は「厳しい言動と自殺に因果関係があった」と指摘した。
八鹿病院に派遣されてわずか2カ月で自ら命を絶った男性医師。夜間緊急時に呼び出される「オンコール」や宿直勤務で長時間労働に陥り、周囲のサポートが不可欠だったにもかかわらず、訴訟で判明した元上司の医師2人によるパワハラは常軌を逸していた。
直属の「医長」は回診中に看護師や入院患者の前で説教を繰り返し「介助の要領が悪い」という理由で頭をたたいた。自殺の5日前には「君は給料の4分の1から3分の1しか働いていない。仕事ができないことを両親に電話してやろうか」と言い放った。
その上役に当たる部長は医長の言動を黙認。手術中には「大学でできたことがなぜできない」「田舎の病院と思ってナメとんのか」などと叱責したという。