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復活気配のヤクルト由規 「故障で3年登板なし」の苦悩を激白

日刊ゲンダイ 11月22日(土)10時26分配信

 ヤクルトの由規(24)が復活の道のりを歩んでいる。10年には2ケタの12勝に加えて日本人最速の161キロ(当時)をマークするも、11年に右肩けん板損傷。以降、今季まで3年間、一軍登板がなかった。秋季キャンプ中の16日に四国社会人選抜との試合で2回無安打5奪三振、最速は148キロをマークし、復活に向けて順調に調整を進めている。その由規に故障後の苦悩などを直撃した。

――16日は3カ月ぶりの実戦登板でした。21日に終了する秋季キャンプは、どう過ごしてきたんですか?

「キャンプで練習を重ね、肩に疲労感を感じながらも離脱せずに投げられた。実戦で投げられて、今はホッとした気持ちです。チームメートよりもブルペン投球の回数、球数は多くはないですけど、投手コーチからは『コントロールはアバウトでもいいから、とにかく強い球を怖がらずに投げることだけを意識しろ』と言われてずっと続けてきました。今のところ順調にきていると思います」

――11年9月に右肩を痛め、12年からは一軍登板がありません。

「今だから言えますけど、肩を痛めて13年に右肩のクリーニング手術をするまでの1年半は、もどかしい気持ちしかなかった。治すためのリハビリをしているのに、何も前が見えませんでした。体の調子が毎日違う。今日は痛みがないなと思っても、しばらくしてまた痛みが出る。知人や関係者から『ここがいいよ』と聞けば病院に行って右肩を診てもらいました。5つくらいは行ったと思います。それでも解決しなかった。何をやれば治るのか正解がわからなかったんです。
 手術を決断した時、覚悟は必要でした。でも、ここまで時間がかかっているわけだし、いい意味で開き直る気持ちはありました。手術が終わって、こんなに楽な気持ちになるとは思わなかった。1からリハビリをやり直すわけですけど、何カ月後にはキャッチボールを始めて、そして何カ月後に投球に入るというプランを立てていくと、真っ暗闇の中に光が見えた気がしました。今こうして徐々に投げられるようになり、肩の痛みではなく投球の技術のことで悩めるのが何よりだと感じています」

■「僕の名前が出た時は嬉しかった」

――リハビリ中に大谷翔平(日本ハム)をはじめ、自分よりも年下の投手が活躍するようになった。大谷は8月には由規選手の記録と並ぶ161キロ、10月には記録を更新する162キロをマークしました。

「記録にちなんで僕の名前が報道で出た時は単純にうれしかったですね(笑い)。抜かれたことを全く気にしていないわけじゃないですけど、抜かれるのは時間の問題だと思っていました。1球だけ投げた僕と、何球も160キロを投げる大谷くんとは訳が違いますよ。大谷くんが『今年は162(キロ)でしたけど、もっともっと出せるようにしていければ』と話したのを報道で見て、球速に対する意欲がすごいなと思いました。出せる自信があってもなかなか言葉にして言えないと思うんです。

 僕が再び160キロを出せるか? それは何とも言えませんけど、6月に二軍のフューチャーズ戦で復帰した時に155キロが出るとは思いませんでした。スピードが出ないんじゃないかという不安はないですね。しっかり投げられれば球速はついてくるという感覚です。

 それにもし、160キロが出なくても、140キロ台後半でキレのあるボールを投げられたらいい。スピードが出なくても速く見える投手はいます。打者が速いという印象を持っているだけで有利になると思いますからね。リハビリをやってきて、年下の選手よりもむしろ気になったのは、同じ年の選手です」

■「来年は一年間を通して働きたい」

――菅野(巨人)や野村(広島)らが同じ年ですね。

「やっぱり刺激を受けるし、意識をせざるを得ないです。高校の時に日本代表でやった野村、同期の投手ではナンバーワンだと思っていた菅野は、大学を卒業してようやくプロで戦えると思っていた。野手だと丸佳浩、菊池涼介(ともに広島)も気になる存在です。

 11年9月に右肩を痛めた時、来年は彼らと同じ舞台でプレーできないんじゃないかと思った。ケガをしたことと同じくらいショックな気持ちになりました。さあ、来年からというところで気合が入っていましたから。当時、現役だった宮本慎也さん(現評論家)からは『高卒で入った選手は、大学、社会人に進んだ人間よりも早くプロに飛び込んだわけだから、1つでも2つでも上のレベルにいないといけないぞ』と言われてもいました。現状、同級生たちと同じラインに立ててはいないですけど、3年が経ち、ようやく彼らとやれるんじゃないかと思うと今から楽しみです」

――来季に向けての意気込みは?

「来年はやっぱり一年間を通して働きたい。正直言えば、何せ3年も投げていませんから、最初から最後までコンスタントに投げられるかどうか、不安もあります。でも、故障してからずっと、首脳陣やフロントの方に気を使っていただいた。その分、チームのためにという気持ちが強い。たとえばチームが優勝争いしていて、無理をしてでも投げなきゃいけない場面が来るかもしれない。その時は迷うことなく自分の気持ちを前面に出して、目いっぱい投げ切りたいと思っています」

最終更新:11月22日(土)10時26分

日刊ゲンダイ

 

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