的はずれなアベノミクス批判
2014/11/21 16:40:00


  アベノミクスがどれくらい深刻な大失敗か説明する:哲学ニュースnwk
  http://blog.livedoor.jp/nwknews/archives/4779558.html

なんか以前もスタグフレーションになるとかいうスレを立てた人っぽい。この人がわかってないのは、この文章に集約されると思うんだよね。

  | 自分としても、自らが票を投じだ自民党と黒田日銀が財政再建と経済浮揚を達成してくれると願っていました。ただ、以前にも言った通り輸入物価はじめ、円安の負の影響による値上げラッシュが家計を直撃した事と外需と内需で景況感がまっぷたつに割れ、全体で見ると実質賃金が1年以上マイナスだったこと。これらがどうしても、悲惨な結果に繋がる可能性がある気がしてなりませんでした。

黒田日銀を支持したということはその時点ではアベノミクス(リフレ政策)を支持していたということなんだろう。ならば物価上昇による家計の負担が(一時的にせよ)増えるのは、当然予測されたこと。リフレ政策というのはそういう政策だ。

インフレさせるんだから物価が上がるのは当たり前。そして給料よりも生活必需品の方が先に上がるのも、予想されたこと。安倍総理だって「給料は上がる」とはいっても、「物価より先行して上がる」とはひとことも言わないよね?(笑。そういうもんなんだからしょうがない。

んで、この時点でそれが読めなかったなら、それはリフレ政策というものをわかってないということ。そんな人が書くリフレ政策批判がどれほど正しいのだろう?

   *   *   *

わかってないこと、その2。

  | 増税自体は本来アベノミクスの成否に関係なく、社会保障や財源の維持のために延いては国債の信任を担保する意味でもしないといけないというのが政府のスタンスでした。

増税は自民党も賛成して決めたから、自分の前の総裁(谷垣総裁)が決めたこととはいえ、反故にするわけにはいかなかったので、増税を否定しなかっただけのこと。

本音を言えば安倍総理は増税なんてしたくなかった。少なくともこのタイミングでは。それが証拠に安倍総理が頼りにしてる浜田宏一は増税に反対してたよね。ノーベル賞経済学者クルーグマンも反対していた。

  | 自分は正直、今の日本はじめ世界各国の中銀のスタンスを見ると財政再建ってなんぞや?国債の信任とはなんぞや?というのが正直なところです。

景気対策と財政再建は同時にはできないという単純なことでしかないと思うよ。金融緩和(インフレ政策)というのは、通貨の価値を落とすことなのだから、語弊があるかもしれないが極論すれば日本政府の信用を落とすことでもある。財政再建は逆に信用を高めるため。両立はできない。

   *   *   *

  | 中央銀行が自分で刷った金で国債を徹底的に買い支えて金利を抑えてるわけで。それで通貨の信認がどんどん落ち

なんどもいうけどリフレ政策というのはそういう政策。信用を落とすことが悪いことだと頭から決めつけてるから混乱する。時にはそういうことも必要。

「信用」というが、通貨や国債の信用というのは、人間関係の信用とは違う。ようは「値下がりしないこと」が信用なわけだ。値下がりしない(むしろ値上がりする)と思うから、円や日本国債を買うわけで、値下がりしてしまったらそれは「値下がりしない」と思って買った投資家の信用を裏切るということ。

んでリフレ政策というのは円を値下げする政策なんだから、信用を低下させる政策。

   *   *   *

  | 長期金利が上昇する本来あるべき経済の連動性が失われており国債なんて、自分のとこでで輪転機回して買い支えりゃいいだけの何の誠意もない、徳政令中に近い借金という性質になりつつあるのに

だからリフレ政策というのはそういう政策なんだ、と(ry。逆にこの人はどういう政策だと思ってたんですかねぇ。

  | 税収を落とすレベルで増税?リセッションしてるとも言える状況で引き締め?と正直、今の日本はじめ各国がやってるチグハグな政策とその失敗は、救いがないように思います。今の国債市場は本当に意味がわからない状況です。

この部分は意味不明だが、リフレ政策と増税を同時にやるのはちぐはぐだろうね。それぞれなんのためにやるか?をあなたは理解してないから、混乱する。

んで、「わからない」人がなんで、アベノミクスに対して正しい評価(=「失敗」)ができると思うのだろうか。完全に理解しているというなら、成功か失敗か判断できると思うが。

あなたにとっては「自分が理解できないこと」=「失敗」ということなんですかね。

   *   *   *

  | 賃金はいずれ上がる、いずれ上がると言い続けて既に1年半くらい経ちました。いい加減給料がインフレ率や物価上昇を上回る伸びで安定していないといけないのですが。現状はずっと実質賃金マイナスのままで、GDPマイナスという最悪な結果になってしまいました。

あなたの世代は知らないだろうけど、バブルが破裂して世の中がデフレになった時、そんなにすぐには賃金は下がらなかった。企業は赤字を出してもかなりの期間耐えた。逆に言えばインフレでも賃金はそうすぐには上がらないと思うよ。

それでも上げてるのは、純粋な損得勘定の結果ではなく、日本の景気回復を願ってのこと。本当は上げたくない。それこそアベノミクスが失敗してまた景気が悪くなることに備えて、蓄えを増やしておきたいというのが、企業の偽らざる本音だろう。

よく、儲かってるなら社員に還元しろというけど、企業はちょっとぐらい赤字でもちゃんと社員に給料払うよね?儲かってるならすぐに社員に還元しろというのは、赤字ならすぐに給料を減らせということと同義なのだが。

   *   *   *

正直言って、アベノミクスを始めた時、ようやく日本経済が好転に向かうなと思うと同時に、これから国民は辛いなと思った。そして国民の「物価が高くて生活できない」という怨嗟に耐えてアベノミクスを断行し続けるのは辛いだろうな、とも。

ただ株価が速攻で上がったのは予想外の幸運。これでずいぶんアベノミクスは助けられた。国民に対する目眩ましになるからね。リフレ政策というのは本来は国民にとっては大変つらい。それでも日本経済を再生するにはやらなければならない。

それが株価上昇という「あめ玉」で、多少マイルドになった。ラッキーと。国民の反発を押し切ってリフレ政策を続けるのはすごく大変だから、4年間は絶対解散しないと思ってたんだけどね(解散したら絶対負ける、と)。

予想に反して株価のお陰でアベノミクスを評価する国民が多くて結構なことだ。

   *   *   *

まあ一言で言えば、リフレ政策というのは国民にとって辛い政策だということ。それが本来のリフレ政策の姿。だから国民生活が辛いというなら、それはアベノミクスの失敗ではなく、まさに成功しつつある証拠。物価が上がってるんだからね。

  | ・地域振興券のような策を考えてるなどとメチャクチャな事を言っており、このままだと事態はより悪化してしまう

リフレ政策は大変辛い「治療」であり、その辛さに耐えるには、時として「痛み止め」も必要。しかし痛み止めで病気は治らない。あくまで辛い治療(リフレ政策)が主。

民主党は逆で痛み止めだけを処方しようとしている(分厚い中間層がどうとかいうヤツね)。それじゃ病気は悪化することはあっても治ることはない。

安倍総理がなぜこのタイミングで解散したか。理由は色いろあるだろうけど、リフレ政策も理由の一つだと思うよ。基本的にリフレ政策が進めばこの先国民生活はもっと辛くなる。リフレ政策というのはそういう国民に「不評」な政策なんだからしかたない。

でも株価が上がって幸運にも今のところ国民に支持されてるので、だったら今のうちに解散して、もうあと丸4年、国民の怨嗟の声を無視してアベノミクスを断行できる期間を確保しよう、と。


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