「ちょっとのおカネをもらって、殺人犯にはなりたくない」――京都府向日市の筧勇夫さん(当時75)殺害事件に関与した疑いを持たれている妻の千佐子容疑者(67)は逮捕前にそんな話をしていたが、マユツバだ。

 この10年足らずで、結婚、交際した男性6人が相次ぎ死亡。「遺産や保険金など受け取ったカネは総額で7億〜8億円に上る」(捜査事情通)というから、「ちょっとのおカネ」じゃない。

「ところが、警察がくまなく調べたところ、千佐子容疑者関係の銀行口座にはほとんど残高がなかったそうです。もともと、千佐子容疑者は都銀のOLだった。カネ勘定は得意ですが、遺産を株などの投資に突っ込んで、本当にスッてしまったらしい。以前はブランド品で着飾っていましたが、いまはスッカラカン状態。筧さん殺害現場の自宅で暮らしていたのも、<ここにおらんと生活保護がもらえへんのや>と親しい記者にこぼしていました」(地元マスコミ関係者)

■捜査本格化後も結婚相談所通い

 最近の収入は本人いわく、「国民年金が月に5万なんぼ」。8億円から生活保護へ。当然の報いだろうが、“京都の毒婦”はそんなことでへこたれるタマじゃなかった。

「今年に入って捜査が本格化し、事情聴取を何度も受け、マスコミに追いかけ回されていた。それなのに千佐子容疑者は、またぞろ結婚相談所に通い、男を“物色”していたそうです。<何が悪いんや>と言わんばかりに高齢男性と堂々と手をつなぎ、散歩している姿が何度か目撃されています」(前出の捜査事情通)

 千佐子容疑者は18日から、周囲に自殺をほのめかし、一時は行方をくらませたというが、にわかには信じがたい。

「千佐子容疑者は以前から<もう死にたい>と口癖のように言っていましたからねえ。ただ、身柄を確保された大阪府熊取町は、25年連れ添った最初の夫と過ごした思い出の場所です。94年に病死した最初の夫が残したのは2000万円の借金と、小さな印刷工場だけ。何とか工場を切り盛りし、2人の子どもを育て上げましたが、10年ほどで畳む羽目に。逮捕を察知し、感傷的になっていたのかもしれません」(前出の地元マスコミ関係者)

 千佐子容疑者は逮捕前に「警察に捕まるのは、死ぬのと等しい」とも話していた。それは本心かもしれない。

▽連続不審死をめぐる経緯
94年9月 大阪府貝塚市の印刷業の夫(54)と死別
06年8月 医薬品卸売会社社長の2人目の夫(69)が兵庫県西宮市の自宅で急死。検視で「脳梗塞」
08年5月 資産家の3人目の夫(75)が大阪府松原市の自宅から病院に運ばれ死亡。検視で「心筋梗塞」
09年ごろ 交際していた奈良県の末期がんの男性が死亡
12年3月 交際していた大阪府貝塚市の本田正徳さん(71)がバイク運転中に急死。司法解剖で「致死性不整脈」
13年9月 交際していた兵庫県伊丹市の元内装業の男性(75)が飲食店で千佐子と食事をした後に容体急変、病院で死亡
同年11月 京都府向日市の筧勇夫さん(75)と4回目の結婚
同年12月 筧さんが自宅から心肺停止の状態で病院に運ばれ死亡。血液鑑定で青酸化合物が検出される