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「訂正記事」こそ信頼を生む 今こそ「歴史の記録者」の自覚を

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執筆者: 小川 和久 , 2014年11月21日

Q:朝日新聞が2014年6月15日朝刊の一面トップで大誤報記事を載せたことは、当メルマガでお伝えしました。その後、訂正記事が出たとは聞きません。集団的自衛権の問題に限らず、テレビ・新聞・雑誌など媒体も限りませんが、マスコミは1度出した報道の内容を訂正したくないようです。どう思いますか?

小川:「私は、朝日新聞が『集団的自衛権』と『集団安全保障』を混同した誤報をどう処理するか注目しています。しかし、いまのところ何の動きもないようです。朝日サイトには同じ記事がそのまま載っていますね」[*編集注]

「日本のジャーナリズムは基本的に、訂正記事を出すのは『恥』だ、と考えています。だから、記事に間違いがあったとしても、できれば訂正などしたくない。時がたてば、読者や視聴者は忘れてくれるだろう、とでも思っているかのようです」

「明らかに間違いだと示す証拠を突きつけられ、放っておくと社会問題化したり、訴訟問題に発展しかねないというときは、仕方なく訂正します。しかし、訂正するときは、できるだけ目立たないように、小さな活字を使って小さな記事を出します。これは新聞も雑誌も同じです」

「テレビを見ていると、アナウンサーが突然、『先ほど不適切な表現がありました。お詫び致します』と謝ることがあります。誰が口にした表現なのか、その表現のどこがどう不適切だったのか、はっきりしない場合も珍しくありません。どこからか抗議電話がかかってきて、慌てて『とりあえず謝っておけ』ということでしょうか」

「不適切な表現を繰り返して、視聴者に重ねて不愉快な思いをさせる必要はありませんが、たとえば『目の不自由な方に不快な思いをさせて申し訳ありませんでした』といった言い方で、何がまずかったのか示すべきでしょう。あるいは、生放送中で詫びたことについては別途サイトで事情を説明することも、あってよいでしょう」

◆「新聞は歴史の記録者」なのか

Q:新聞社もテレビ局も倫理綱領や放送基準をつくり、報道は事実に即して正確を期するのだ、と自ら謳っています。

小川:「戦前の新聞や放送(ラジオ)は大本営発表をそのままタレ流し、国民に戦況や被害状況を正確に伝えることは、勝っているとき以外、まずありませんでした。そこで占領軍は1945年9月、『プレスコード』(日本に与うる新聞遵則)を出します。その第1項は『報道は絶対に真実に即すること』です。プレスコードは占領軍が検閲や思想統制をするためのものという側面も色濃くありましたが、これ以後、真実や事実を伝える報道が日本の新聞や放送の基本原則になったことは確かです」

「日本新聞協会は、1946(昭和21)年7月23日に発足したとき新聞倫理綱領を制定しています。2000年6月21日に改定されたものを紹介しておきましょう。放送を規律する放送法も第4条3項に『報道は事実をまげないですること』と定めていますし、日本民間放送連盟の放送基準もそうです」

【新聞倫理綱領(抜粋)】

国民の「知る権利」は民主主義社会をささえる普遍の原理である。この権利は、言論・表現の自由のもと、高い倫理意識を備え、あらゆる権力から独立したメディアが存在して初めて保障される。新聞はそれにもっともふさわしい担い手であり続けたい。

おびただしい量の情報が飛びかう社会では、なにが真実か、どれを選ぶべきか、的確で迅速な判断が強く求められている。新聞の責務は、正確で公正な記事と責任ある論評によってこうした要望にこたえ、公共的、文化的使命を果たすことである。

正確と公正 新聞は歴史の記録者であり、記者の任務は真実の追究である。報道は正確かつ公正でなければならず、記者個人の立場や信条に左右されてはならない。論評は世におもねらず、所信を貫くべきである。

【日本民間放送連盟 放送基準(抜粋)】

6章 報道の責任

(32)ニュースは市民の知る権利へ奉仕するものであり、事実に基づいて報道し、公正でなければならない。

小川:「事実を正確に伝えることは新聞やテレビの基本的な作業であり、ジャーナリズムの原点です。自分たちで高らかにそう謳っています。そうであるのなら、報道が事実と異なっていたときは訂正するのが当たり前でしょう。その訂正に後ろ向きなメディアは、ジャーナリズムの使命を忘れているとしか、いいようがありません」

◆米国TVの戦争報道

Q:日本のメディアは、なぜそうなのだと思いますか?

小川:「訂正記事の不在は、メディアに『自分たちは歴史を編んでいく当事者だ』という自覚がないからだ、と思います。新聞倫理綱領は『新聞は歴史の記録者であり、』と謳っていますが、それは言葉だけに終わっています。あるいは、民主主義システムを機能させるうえで国民の代表の中心に位置するのがジャーナリズムだ、という自覚がメディアに欠けているからだ、といってもよいでしょう」

「そこで、私が思い出すのは、1991年の湾岸戦争のときにアメリカの放送局CBSがどんなことをしたかです。私は当時、アメリカと日本で湾岸戦争報道を比較し、日本のジャーナリズムの問題点を洗い出して本にまとめようと考えており、調査や取材を重ねました」

「CBSニューズは、湾岸戦争が始まるとウォールームという部屋(スタジオ)を開設し、これを拠点に報道しました。空軍参謀総長のマイケル・J・デューガン大将が、ワシントン・ポスト紙のインタビューに応じ、戦争が始まれば米空軍がイラク軍をアッという間に粉砕するというような個人的な見解を語り、政府方針からの逸脱を理由に更迭されたことがありました。すると、CBSはデューガン前大将をコメンテーターに起用。彼のイケイケドンドンの意見ではなく、ちょっと前まで空軍トップだった専門家としての知見を番組に反映させつつ報道したのです」

マイケル・J・デューガン・アメリカ空軍参謀総長 (1990年7‐9月)

「そのCBSは、戦争が終わると、『ガルフ・ガゼット』と呼ぶ白表紙の報道記録集をまとめました。これは部厚い電話帳ほどのものが4冊で1セットになった報告書です。何月何日何時何分、どこの情報源からかくかくしかじかの情報がもたらされた。その1時間後、また別の情報源から情報が得られ、先の情報は誤報とわかった。そこで何時何分に正しい情報を報道した、といった詳細な報道の経緯が、7か月分ぎっしり詰まっています」

「CBSは100万ドル(当時の為替レートで1億5000万円前後)をかけて、これを25セットつくりました。まだ関係者がいて各方面に差し障りがあることから未公表ですが、外交機密文書のように、適当な時期がくればジャーナリズム研究のために公開する、というのです。私がCBSに聞いたときは『コロンビア大学の大学院に寄贈する』と言っていましたが、寄贈はまだかもしれません。コロンビア大学のジャーナリズム大学院が、新聞報道や文学などに与えられる権威あるピュリッツアー賞を運営していることが理由です」

「つまりCBSは、自分たちが誤った情報に基づいて不正確な報道をしてしまったことも含めて記録を後世に残し、『歴史を編んでいく』という姿勢を明確に打ち出しています。自らの誤りを正確に記録して初めて、世の出来事を正確に記録する『歴史の証人』としての資格が生まれるのだ、という自覚があるのです」

「対して、日本の放送局はどうだったでしょうか。湾岸戦争当時、私でTBSの『筑紫哲也ニュース23』にほとんど専属のような形で出ずっぱりでしたから、自分が関わったものについては記録を残してあります。しかし、本にまとめようとしてわかったのは、湾岸戦争当時のニュース番組の進行表や台本すら、保存してある放送局は皆無だったことです。NHKすらも当時は3か月で進行台本を処分していました。日々起こっているはずの誤報や舌足らずの報道を検証し、訂正していくという姿勢は、当時からありませんでした」

◆これで政府の誤りを正せるか

Q:日本のメディアは、報道したことを隠してしまい、読者や視聴者に再検証の機会を提供しない。これもアメリカとの大きな違いでしょう?

小川:「そうです。新聞は縮刷版を出していますが、最終版だけを載せますから、早刷りで誤報があっても『証拠』が残りません。放送局は、何月何日のニュースを検証したいからビデオを貸してほしいといっても、絶対に出しません」

「ところが、ある放送局の何日か前のニュース映像をほしいというニーズはある。放送・新聞・雑誌は、それを使って報道したい場合があるわけです。だから、放送をせっせと録画する業者があり、本来ならば著作権法に触れるはずですが、みんな黙認して、映像をカネで買っています」

「しかし、アメリカの放送局は、ニュース報道はじめ放映済み番組をアーカイブ(資料保管庫)に保存し、視聴者が局に出向きさえすれば見せる、ということをやっています。たとえば識者インタビューは3分しか放送できなかったが、実際のインタビューは1時間でたいへん参考になるという場合、未放送分も含めたインタビュー映像全編をアーカイブに置いて公開する(もちろん相手の許可を得て)ということもあります。あるいは、実費・手数料さえ負担すればビデオやDVDを入手できたりするのです」

「インターネットの普及によって、日本の放送局も映像アーカイブをつくり、ネットで有料または無料で公開するということを始めています。しかし、これは放送局が見せたい番組だけを見せているわけです。自分たちが間違ってしまったニュースでも見せる、という姿勢とは異なりますね」

「いま私は、こうして『NEWSを疑え!』というメールマガジンを出していますが、実は、これはテレビでやりたかったことなのです。日々膨大なニュースが放送されているが、それは次から次へと消えていく。間違いがあっても正されないまま一瞬で消えてしまうから、深夜でも早朝でもいいから番組をつくり、そこで1週間のテレビ報道を検証できないか、と1980年代の終わり頃に考えていました。『NEWSを疑え!』というタイトルも、そのとき考えたものです」

「当時、いわゆる『電博』(広告代理店の電通・博報堂)にも相談しましたし、電通の担当者に紹介されて、いまテレビ朝日会長兼CEOの早河洋さん(当時ニュースステーションのプロデューサー)にも会いました。いまTBS社長の石原俊爾さんや、櫻井よしこさんとも話しました。結局は、私自身にテレビで仕事をしていく覚悟がつかず、諦めましたけれども」

「いずれにせよ、集団的自衛権をめぐる最近のニュースを見るにつけ、日本のメディアには『歴史の証人として歴史を編んでいく』姿勢が必要だ、と痛感させられます。自己検証すらせず、自らの誤りを訂正しないメディアに、政府の動きを検証したり、政府の誤りを正しく指摘できるでしょうか。日本のマスメディアは、ジャーナリズムの原点に立ち戻らなければなりません。そして、間違ってしまったら、誇り高く訂正記事を掲載すべきです」

「読者や視聴者はバカではありません。訂正記事を見て『間違えたのか。信用できないダメなメディアだ』と思う人は少ない。『間違いを認めたか。ならば信用できる』と思う人のほうが、はるかに多いはずです」

(聞き手と構成・坂本 衛)

* 編集注 GoHoo旧コンテンツ:「独軍55人死亡」 集団的自衛権の事例とミスリードも参照。

この記事は、会員制メールマガジン『NEWSを疑え!』第334号(2014年9月18日号)より了承を得て一部転載しました。

(初稿:2014年11月21日 18:16)

タグ: 朝日, 自衛権

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小川 和久

執筆者について
小川 和久

静岡県立大学特任教授、国際変動研究所理事長。

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