【大学と就職】離職率、低くても安心できない業界の裏側(1/2)
◆「すき家」店舗閉鎖などの影響で22億もの純損失を計上
11月13日、ゼンショーホールディングスの第2四半期の決算短信がリリースされた。それによれば、営業利益は11億7,200万円となったものの(第1四半期段階では、9億2,300万円の赤字)、純利益では22億3,100万円の損失となった。原材料や人件費などのコスト増、加えて人手不足による店舗閉鎖に伴う損失や、深夜の「ワンオペ」(店舗に1人で勤務すること)解消に伴う深夜営業休止が大きく影響した結果だろう。
ワタミも2014年度上期の実績は、41億1,000万円の最終赤字。国内外食事業は上期だけで52店舗が撤退、年間の撤退数は102店舗に上る見込みとなった(当初の予定は60店舗)。
もちろん両社の苦境は、ワンオペや雇用にまつわるニュースだけが原因ではない。だが、それが大きな影響を及ぼしたのは、決算の大幅な修正内容から見ても明らかだろう。
◆飲食サービス業は、実は若手が辞めない業界?
こうしたニュースが世間を騒がせたためか、飲食サービス業界全体に対して雇用を巡る風当たりが強まっている。たとえば「飲食業は離職率が高いから危険」という言葉を聴いたことがある人も多いのではないか。
実際、飲食サービス業の離職率は確かに高い。厚生労働省の発表した「平成25年若年者雇用実態調査の概況」によれば、過去1年のうちに退職した若年労働者(満15~34歳の労働者)の退職が多かった業界は、以下の通りである。
1. 宿泊業、飲食サービス業:58.4%
2. 生活関連サービス業、娯楽業:52.3%
3. 情報通信業:52.2%
4. 卸売業、小売業:45.2%
5. 医療、福祉:42.4%
(※自己都合退職者の割合)
だが、これは雇用形態に関わらず集計したデータである。このうち、正社員の退職者が多かった業界で並べ直すと次のようになる。
1. 情報通信業:45.2%
2. 建設業:34.1%
3. 製造業:32.5%
4. 生活関連サービス業、娯楽業:32.1%
5. 学術研究、専門・技術サービス業:29.5%
ちなみに「宿泊業、飲食サービス業」は、わずか18.0%。これは全体16産業のうち、下から数えて4番目の低さである。つまり、この業界はアルバイトやパートなど、正社員以外の若年労働者の退職が圧倒的に多いのである。
もともと飲食サービス業は、高校生や大学生のアルバイトの定番でもあるため若い人が集まりやすい。彼らのほとんどは長く働くことがないため、必然的に「正社員以外の若年労働者」の退職率が高くなっているのだろう。正社員だけで見れば、ほかの業界よりも数値の上では健全である。
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