無念! やしきたかじん逝く 本誌だけが知る2年間の闘病生活
2014.01.09
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半年前に入籍したばかりだったのに…
'12年6月、港区の自宅近くをゆったりした足取りで散歩するたかじん。付き添うように歩くのがSさんだ
Photo:西原 秀
関西人にとっては父親を亡くしたも同然だった。1月7日、関西を中心にカリスマ的な人気を誇る歌手・タレントのやしきたかじん(64)が心不全で亡くなったことが発表された。1月3日に、東京都内のマンションで食事中に食べ物を(のど)に詰まらせ、主治医の勤務する中央区の総合病院に救急搬送。昨秋に入籍したばかりの妻が見守る前で息を引き取った。
「親族のほかはレギュラー番組をもっていた在阪テレビ局のごく一部の幹部しか亡くなったことは知らされず、桂ざこばや辛坊治郎、宮根誠司などの親しい芸能界の友人も7日になって初めて聞いたとのことです。関西のテレビ界ではたかじんさんのお世話になっていない人はいませんから、亡くなった情報が飛び交った7日の夜は大変な騒ぎでした」(在阪テレビ局関係者)
東京では馴染(なじ)みが薄いが、大阪ではたかじんは超大物だ。歌手として'76年にデビューし、『やっぱ好きやねん』『なめとんか』『あんた』『東京』などのヒットを飛ばした。大阪で3本の冠番組を持ち、政治経済から芸能までブッタ斬る大胆な物言いで人気を集め、『関西の視聴率男』の異名をとる。東京のテレビ局とは距離を置き、それによりますます存在感を増していった。橋下徹氏に大阪府知事選への出馬を後押ししたのも彼である。
番組で共演し、私生活でも親交の深い歌手の円広志氏はたかじんをこう(しの)ぶ。
「それは凄い存在でしたよ。面白いけど芸人ではない。歌手であり、コメンテーターでもある。あと15年は頑張ってもらわないとって思っていました……。
 怒られたこともありましたね。『(コンサートで)お前は(しゃべ)りが足りない。5000円のチケットを2万円にするぐらいのつもりで喋らなきゃダメだ』って。お客さんのことを大切にする人でした。
 一緒に飲みに行くと自分が酔って寝てしまうまで、周りに誰かいないと気が済まないんです。一度、誕生日に夜中の2時半ぐらいに呼び出されて行ったこともあります。当然、本人はすでにベロベロで(笑)、でも周りには呼び出された人が他にも何人かいました。そんな寂しがり屋の一面もありました。頭が良くて人に見えないものまで何でも見えてしまうから、孤独だったのかも知れませんね」
愛する新妻と過ごした数ヵ月
たかじんは'12年1月、食道がんが見つかり、全レギュラー番組を降板。初期のがんだと報じられたが、実際はステージⅢ。都内の病院で入院治療に入った。
「入院中かいがいしく世話をしていたのが、32歳年下のSさん。彼女はもともとイタリアでネイルサロンを経営していましたが、帰国した際に参加したパーティでたかじんと出会い、交際が始まったんです。たかじんは半年ほどで回復に向かい、夏頃には退院。二人はそのまま東京で同棲するようになりました」(知人)
この頃、本誌は闘病中の彼を都内で目撃している。'12年6月下旬、スーパーへ食材の買い出しに出かけた、たかじん。そんな彼の隣にはピッタリと寄り添うSさんの姿があった(上写真)。
「こっちや」
店内ではそう言いながら前を行くたかじんのすぐ後ろを、
「あった?」
と応じながらSさんがカートを押してついていく。二人は年の離れた仲の良い恋人同士にしか見えなかった。
だが、別の日に帰宅する際に目撃した、車椅子にもたれかかるたかじんの様子からは、かつての毒々しいほどのオーラが完全に消えていた……(次写真)。
'13年3月、1年2ヵ月ぶりにたかじんはレギュラー番組に復帰。15㎏近く()せたが、「(スリムになって)モデル仕様になって帰ってきました」と以前と変わらない軽妙なトークを披露した。
「4月には親しい友人を集めてSさんとの婚約パーティを大阪で開いています。Sさんに指輪を贈り、本人も周囲もすっかり完治したと思っていました」(同前)
しかし、同年5月に食道周囲のリンパ節へのがんの転移が判明。再び番組を降板して療養生活を送ることになった。
「たかじんさんは『まあしゃあない』と毅然とした態度でした。しかし付き添ったSさんは取り乱していましたね。リンパ節への転移ということは全身にがんが回り、もはや完治する可能性はほとんどありません。たかじんさんは入院はせずに外来で抗がん剤治療を受けていました」(大学病院関係者)
それから数ヵ月、大阪やハワイで夫婦水入らずの静かな時間を過ごした。
「月に一度、抗がん剤治療で通院する以外は、二人きりで静養していたそうです。それでもSさんは二人きりの生活に満足し、幸せいっぱいという感じでした。おそらく入籍したのもこの頃でしょう。たかじんさんは自分が長くないことを悟り、遺産をSさんに残すために籍を入れたのだと思います。最後は最愛の人と添い遂げられたわけですから、幸せだったんじゃないでしょうか」(前出・知人)
ゆっくりと休んでほしい。合掌。
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'12年5月、食道がんの手術を受けた直後のたかじん。連れの男性に抱えられ、車いすに乗せられていた
Photo:西原 秀
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散歩からそのままスーパーに向かった。たかじんは疲れたのか、10分ほどで店の外へ。テラス席で休憩する
Photo:西原 秀
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昨年5月、朝の品川駅の待合室で大阪行きの新幹線を待つ二人。彼の言葉にSさんは笑顔を見せていた
Photo:結束武郎
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