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 東京電力福島第一原発での建屋海側にある坑道(トレンチ)内の高濃度汚染水対策で、原子力規制委員会の検討会は21日、汚染水が残る状態でセメントを流し込み、坑道を埋める東電の方針を了承した。汚染水を抜き取るための止水工事がうまくいかなかったため、対策を切り替える。地中に汚染が残りやすくなるが、汚染水が海に漏れるリスクの回避を優先した。

 汚染水がたまっている坑道があるのは2号機と3号機の海側で、量は計1万1千トン。タービン建屋の地下とつながっているため、汚染水を抜くためには接続部を止水する必要があった。東電は今春、2号機の接続部を凍らせて止水する工事を1カ月の予定で始めたが難航。10月にはセメントで固めようとしたが、完全に止水できなかった。

 このため東電は止水を断念。代わりに、坑道にセメントを流し込みながら汚染水をくみ上げて、坑道内をセメントに置き換える工法をとる方針を示した。水平に広がりやすい特殊なセメントを使うことで、坑道内に残る汚染を減らす。