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廃炉はいま

東電の廃炉対策責任者・増田尚弘さんに聞く

写真:インタビューに答える東京電力福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏プレジデント=楢葉町のJヴィレッジ 拡大インタビューに答える東京電力福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏プレジデント=楢葉町のJヴィレッジ

写真: 拡大

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 ●4号機で最初の山場越す/安全守れる行程作り可能に「廃炉に特化」働き方決まる

 今月、東京電力福島第一原発では4号機からの使用済み燃料取り出しが完了し、年内には4号機から全ての燃料が無くなる見込みだ。廃炉作業は最初の山場を越えた。第一原発の各炉のこれまでを振り返り、廃炉の責任者に今後の課題などを聞いた。

 東京電力の廃炉対策責任者、福島第一廃炉推進カンパニーの増田尚宏プレジデントが朝日新聞の取材に、廃炉の現状や課題、作業にかける思いを語った。

 ――4号機で、使用済み燃料取り出しが終わった

 残った新燃料180体を取り出せば、4号機については「燃料に関する問題は全くなくなった」と報告できる。4号機の作業では海外の技術者の指導をもらう面もあったが、逆に、カバーを1年あまりで作ったことなど、彼らが関心を示すような成果もあった。

 ――他の炉の課題は?

 4号機はカバーを作り、人が常駐した作業が出来たが、1〜3号機は非常に放射線量が高い。4号機のようなカバー作製や、使用済み燃料の取り扱い作業を遠隔操作で行う必要がある。

 ――安全確保と廃炉のスピードアップをどう両立させる?

 廃炉に対する安全とは何かを考え工程を作りたい。工程ばかり重視すると、もう一度仕事をやり直すことすらある。安全を確保しながら進めることが重要だ。今までの3年はそこまで気を回す余裕がなかった。廃炉推進カンパニーが出来て少しは先が見え、より安全を考えながら工程を作れるようになって来た。

 ――カンパニーを立ち上げて他によかったことは?

 職員の意識付けの面が大きい。原子力の人間が、廃炉と発電の両方を抱えている東電の中でどう働くのか、難しい面があったが、廃炉に特化して仕事をやると意思表示できた。発電と廃炉という組織としての整理だけでなく、職員の気持ちの整理が出来た。

 ――カンパニーの責任者としてつらかったことは?

 今もけが人が続いていることだ。毎日6千人以上の人に働いてもらっている。先日も、タンクの作業現場から鋼材が落下し、作業員がドクターヘリで運ばれた事故があった。安心して安全に働ける場所にしたい。

 ――廃炉作業での情報発信や地元の理解を得るために気をつけていることは?

 1号機の屋根パネル取り外しは相当勉強になった。画像で説明して「これを見て初めて分かった」と言ってくれた人がいた。作業の監視態勢は十分だと思っていたが、「もっと強化して欲しい」という声で追加したものもあった。こういったやりとりのおかげで、よりよい姿で仕事が出来るようになっていると思う。

 ●1号機 2011年3月11日に水素爆発を起こした1号機では、同年10月に放射性物質の飛散を抑える建屋カバーを設置した。東電は当初13年冬にもカバー解体を始め、建屋上部のがれき撤去を行う意向だったが、作業に伴う放射性物質飛散への地元の不安が強く、飛散防止策を強化するなどし、14年10月から解体作業を始めた。内部には溶融燃料(デブリ)と使用済み燃料プールに燃料392体が残る。

 ●2号機  炉心溶融(メルトダウン)は起こしたが、水素爆発などでの損傷はなく、建屋が残った2号機。だが、建屋内には毎時数十〜数百シーベルトと、放射線量が極めて高い場所がある。

 このため、人が立ち入って作業できず、現在残っている燃料取り扱い機などの廃炉作業で重要な設備を復旧できるめども立っていない。デブリと使用済み燃料プールに燃料615体が残る。

 ●3号機  3号機は11年3月14日に水素爆発を起こした。同年9月から建屋上部でがれきの撤去を開始。その作業中に使用済み燃料プールに鉄骨やがれきが落ちるなどのトラブルも起きたが、13年10月には大きいがれきの撤去が完了した。

 現在は燃料取り出しのための装置設置に向けて、人が立ち入れるように除染などを行っている。デブリと使用済み燃料プールに燃料566体が残る。

 ●4号機  4号機は11年3月15日に、3号機から流れ込んだと見られる水素による爆発を起こした。定期検査中のため、炉内には燃料が無かった。12年3月に着工した燃料取り出しのための建屋カバーが完成した13年11月から、使用済み燃料プールからの燃料取り出しを本格的に始めた。

 すでにほとんどの燃料を取り出して移送済みで、今年中には取り出し作業が完了する予定だ。

 ●5・6号機  東日本大震災当時、停止中だった5、6号機は、生き残った非常用電源などを使って冷温停止を達成し、爆発や炉心溶融は起こさなかった。東電は昨年12月に両機の廃炉を決めた。

 すでに13年11月には6号機で炉内の燃料の取り出しを完了。5号機でも年度内に炉内の燃料取り出しを始める。また今後の1〜3号機の廃炉作業に向けて、デブリ取り出し作業の試験などに活用する方針だ。

        ◇                ◇

 福島第一原発の廃炉作業は4号機では大きな山を越えましたが、政府は30〜40年はかかるとしており、始まったばかりです。来週から毎週水曜日の紙面で1週間の作業の進展やトラブルなどを紹介する「廃炉はいま」を始め、廃炉作業の現状を記録していきます。

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