【北京=阿部哲也】中国新疆ウイグル自治区の高級人民法院(高裁)は21日、国家分裂罪に問われたウイグル族の著名な学者、イリハム・トフティ氏を無期懲役とした一審判決を支持し、イリハム氏の上訴を退ける判決を下した。中国は二審制のため刑が確定した。9月中旬の初公判から2カ月で確定する異例の速さの裁判となった。
イリハム氏はテロや暴力に反対する穏健派の知識人として知られるが、習近平指導部は「法治」の名の下に共産党・政府に対するあらゆる批判を封殺する構えだ。
イリハム氏の弁護士によると二審判決は法廷ではなく、留置場内で言い渡された。審理も書面のみで済まされ、イリハム氏は「判決は不公正で、法律を踏みにじっている」と批判したという。
自身の情報サイトや中央民族大学の准教授という立場を悪用し、国家分裂をもくろむ「犯罪集団」を形成したというのが罪状だ。当局のウイグル政策を批判する言論を繰り返したとし、今年1月に拘束されていた。
イリハム氏は一貫して無罪を主張している。新疆ウイグル自治区の格差是正を訴える言論活動は海外でも広く知られており、今回の判決は国内外で波紋を呼びそうだ。
習近平