衆院選:公約策定へ「突貫工事」
毎日新聞 2014年11月20日 11時48分(最終更新 11月20日 13時12分)
21日の衆院解散を控え、与野党の公約策定作業が大詰めを迎えている。自民、公明両党は20日、2017年4月の消費税率10%への引き上げと同時に、生活必需品の税率を低く抑える軽減税率の導入を目指す共通公約で正式に合意する。一方、民主党はアベノミクスの負の側面に焦点を当て、生活支援策を盛り込む考えだ。各党は「12月2日公示−14日投開票」の衆院選日程に向け「突貫工事」(自民党幹部)を急いでいる。【宮島寛、高本耕太、佐藤慶】
◇与党…軽減税率導入盛る 野党…アベノミクス批判
安倍晋三首相は20日午前、首相官邸で自民党の野田毅税調会長と会談し、軽減税率の「17年度の導入を目指す」とする共通公約案を了承した。野田氏によると、首相は「対象品目の選定も含め、丁寧に進めていかなければならない」と語った。20日午後に与党税制協議会を開き、導入方針を正式決定する。
一方、自民党は25日に独自公約を決定する。景気回復の実感が乏しい地方経済を重視する考えで、稲田朋美政調会長が20日午後に首相と会談し、円安や燃油高対策を柱とする経済対策の実施を申し入れる。公約ではまた、省エネ性能が高い住宅の新築や改修の際、一定の物品と交換できる「エコポイント」制度の復活を盛り込む方向だ。米価下落時の農家の収入補填(ほてん)策も明記する方向で、項目数は「100を優に超える」(政調幹部)ものとなる。
公明党は20日午前の中央幹事会で、低所得者対策や中小企業支援を柱とした経済対策を了承した。落ち込んだ個人消費を喚起するため、消費増税の負担軽減措置として実施している低所得世帯に原則1人1万円を配る「簡素な給付措置」の拡充を掲げる。石井啓一政調会長は19日の記者会見で「低所得者のみならず中堅低所得者への支援も訴えたい」と語った。
野党各党も急ピッチの作業を強いられている。
民主党は今週中に公約の概要を決定する。アベノミクスで「円安による物価高の悪影響が出ている」(海江田万里代表)ことを強調。社会保障政策の充実や子育て支援の拡充を通じ、個人消費を後押しする政策を打ち出す方針だ。