衆院選:「0増5減」調整難航 「地方の声が通らない」
毎日新聞 2014年11月20日 21時09分
12月の衆院選は、1票の格差を是正するため小選挙区を「0増5減」する新たな区割りが適用される。選挙区が3から2になるのは山梨、福井、徳島、高知、佐賀の5県。各党は21日の解散に向けて候補者調整を急いでいる。一方、新しい選挙区について、陣営や有権者からは「周知不足」「地方の声が届きにくくなる」など戸惑いや懸念の声が上がる。【近藤諭、村山豪、阿部弘賢、上野宏人】
福井県では、自民党の現職3人が2選挙区からの出馬を希望したため調整が難航。旧1区の稲田朋美氏(55)が新1区、県南部に位置し、原発14基を抱える旧3区の高木毅氏(58)が新2区から出馬することで19日に落ち着いた。旧2区で県連会長の山本拓氏(62)は比例代表の名簿上位で優遇する。高木氏の陣営は「新たに選挙区になった地域を重点的に回る必要があるが、これまでの選挙区も軽視できない。選挙までの準備期間も短く、とにかく時間が足りない」と話す。
民主党は、新2区で公認が内定していた前職の糸川正晃氏(39)が20日、立候補見送りを表明。新たな候補者探しを迫られることになった。糸川氏は記者会見で「現在の党利党略の政治と、自分の理想との間にずれがある」と理由を語った。
徳島県で3議席を独占する自民党は、7月に候補者調整を終えた。新1区への立候補を予定する旧3区の現職、後藤田正純氏(45)は、新たに「地元」となった地域の行事にも顔を出す。県連幹部は「早めに決めておいて良かった」と胸をなで下ろす。
前回衆院選で仙谷由人元官房長官(68)らが落選した民主党は調整が難航。県連は18日、仙谷氏の不出馬と、仁木博文前衆院議員(48)の新1区への擁立を急きょ決めた。しかし、新2区の候補者擁立は「ぎりぎりまで模索するが、かなり厳しい状況」(高井美穂県連代表)だ。
高知県では、自民党の旧2区の中谷元氏(57)が新1区、旧3区の山本有二氏(62)が新2区で立候補し、旧1区の福井照氏(60)が比例代表に転出する。県連は今年4月に早々と決定し、石破茂幹事長(当時)に福井氏の比例名簿1位を要請した。関係者は「今回の選挙戦では『比例は公明』と言えないのではないか」とみる。
新1、2区は県を東西に二分するが、陣営関係者は「有権者に新しい区割りが正確に理解されていない。変更を周知し始めたところに解散風が強まった」と困惑する。