経済対策案:家計や中小企業支援中心…選挙ばらまき色濃く
毎日新聞 2014年11月20日 21時24分(最終更新 11月20日 23時33分)
政府は、自民、公明両党が20日政府に要望した経済対策案をもとに、2014年度補正予算を編成して対策を実施する。与党は対策を政権公約に連動させ、「衆院選での有力なアピール材料」としたい考えだが、総選挙に突入する中でまとめた経済対策だけにばらまき色の濃いメニューが並んでいる。景気浮揚と財政規律をどう両立させるかが問われそうだ。
「子育て世帯への給付金拡大」「中小事業者の資金繰り支援」。今回の対策は家計や中小企業への支援が中心だ。物価上昇が賃金の伸びを上回るペースで進んでいるため消費者の財布のひもが固くなっているほか、円安に伴う原材料の輸入価格上昇で地方の中小企業を中心に企業活動の足かせとなっていることが背景にある。また、政府が昨年末にまとめた5.5兆円の13年度補正予算は公共事業が中心だったが、人手不足や建築資材の高騰などで、公共事業の上積みが難しい事情もある。
ただ、与党がまとめたメニューの中には「裁判所の建て替え」や「官邸主導の戦略的な国内広報」など景気浮揚につながる施策とは思えないものもあり、市場では「景気全体を押し上げる効果はない」(債券担当アナリスト)との見方も多い。政府・与党内では地域商品券の発行を「家計支援の切り札」と位置づける声があるが、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「現金支出を一時的に代替するだけの一過性の対策。消費の底上げ効果は期待できない」と指摘する。
「財政再建の旗を降ろすことは決してない」。安倍晋三首相は再増税延期を表明した18日の記者会見でこう強調した。政府は2兆〜3兆円規模の補正予算を編成して対策を実施したい考えだが、与党からすでに金額積み増しを求める声が上がっている。与党からの歳出圧力をはねのけ、景気浮揚に効果的な補正予算を編成できるかどうか。首相の財政再建への決意も問われることになりそうだ。【三沢耕平】