軽減税率:与党協議、対象品目で曲折も
毎日新聞 2014年11月20日 21時28分(最終更新 11月21日 11時20分)
自民、公明両党は20日、消費税率を10%に引き上げる2017年4月に、生活必需品の税率を低く抑える軽減税率の導入を目指すことで正式合意した。衆院選で大々的にアピールしたい公明党が渋る自民党を押し切り、導入の目標時期の設定まではこぎ着けた格好だ。しかし、対象品目の選定や複数税率に応じた納税事務の確立など、課題は山積。低所得者対策で早期の具体化を求める声は強いが、与党協議の行く末には曲折も予想される。
軽減税率の導入は、昨年末にまとめた14年度税制改正大綱で「消費税率10%時」と明記されている。今回は「17年度からの導入を目指す」と踏み込んだ。ただ、公明党の斉藤鉄夫税調会長が「17年4月からの導入」を強調するのに対し、自民党税制調査会の野田毅会長は「『目指す』という文字通り」と、あくまで「目標」との立場。早くも解釈の違いが浮上した。
自公両党は衆院選後に協議を再開し、来年度の税制改正大綱に対応を盛り込む方針だが、「対象品目の選定などは到底間に合わない」(自民党税調幹部)との見方が一般的だ。財務省は小売店などのレジのシステム改修などで、実際の導入までには関連法成立から1年半程度の準備期間が必要と見ている。このため、対象品目や納税事務を具体化した上で、来年秋の臨時国会に関連法を提出するとのスケジュールも浮上している。
自公両党は、対象品目の分類で8案を提示しているが、各業界の利害が錯綜し、具体化には政治的な決断が必要になる。納税事務の負担増で経済界からは反発もあり、広く納得が得られる環境が整うかは見通せていない。【横田愛】