安倍内閣:解散に理解求める…閣僚ら「厳しい選挙」の声も
毎日新聞 2014年11月21日 11時43分(最終更新 11月21日 13時29分)
衆院は21日、解散された。各閣僚からは消費税率10%への引き上げ先送りと解散への理解を求める声が相次いだ。与党は選挙戦で、安倍晋三首相の経済政策アベノミクスの継続を訴える方針だが、野党は「大義なき解散」と批判を強めており、閣僚の一部からは「厳しい選挙戦になる」との見方も漏れた。【仙石恭】
「アベノミクスが頓挫したとか、いろんなことが言われている。しかし経済再生はもうこの道しかない。安倍内閣がデフレ脱却に失敗したら退陣すればいいと、そんな簡単なものではない。我々が失敗すれば次の内閣も難しくなる」。甘利明経済再生担当相は21日午前の記者会見で、首相の解散への意気込みを代弁し、理解を求めた。
自民党の谷垣禎一幹事長も党役員連絡会で「経済政策や成長戦略をさらに前へ進めるべきかどうかについて国民の判断を仰ぐ。『景気回復の道はこれしかない』と、一致団結して訴え、勝利を目指したい」と語った。
竹下亘復興相によると、首相は閣議で「デフレ脱却の糸口は見えている。やり方は間違っていない。この道しかないということを国民に伝えていく」と訴えた。首相に近い山谷えり子国家公安委員長は「アベノミクスが地方まで行き渡っていないところがあり、行き渡らせるために頑張りたい」と強調した。
衆院解散のネーミングについては、閣僚からは「日本の底力を発揮する解散」(山谷氏)、「アベノミクス止めるな解散」(山口俊一沖縄・北方担当相)などの案が出た。
政府・与党内では野党の選挙協力が進んでいないなどとして選挙戦に楽観論もあるが、閣僚からは不安も見え隠れした。うちわ配布問題で辞任した松島みどり前法相の後任、上川陽子法相は「閣僚の重責を担って選挙戦に入る不安があるのが正直なところだ」と語った。山口担当相は閣議後に首相と個別に面会した際、「いろいろな人の選挙応援に行ってほしい」と求められたと明かし、「解散に大義がない、唐突だというご意見が結構ある。首相には厳しい選挙だとの思いがあるのではないか」と推測した。
野党時代から今年9月の内閣改造まで自民党幹事長を務めた石破茂地方創生担当相は会見で、「与党になって2年、自民党が野党の時の気持ちを忘れていないかが問われる選挙だ」と警鐘を鳴らした。