首相解散表明:唐突な解散、困惑…「大義名分」街で聞く
毎日新聞 2014年11月18日 21時21分(最終更新 11月19日 01時25分)
安倍晋三首相が衆議院解散の意向を表明した。世の中は総選挙へ走り出すが、有権者の多くは「理由が分からない」と首をかしげている。17日の国内総生産(GDP)速報値が予想を大きく下回り、与党内でも「選挙をやっている場合か」との声が上がっていた。全国各地の街頭で「解散に大義名分はあるか」と尋ね、その理由を聞いた。
◇「ない」…与党側の保身だ
◇札幌市中央区 会社員 松田のり子さん(32)
特定秘密保護法や集団的自衛権行使容認などの重要案件は国民不在で進めたのに、消費増税先送りという唐突な理由で信を問う姿勢は理解できない。都合の良いときだけ「信を問う」を名目として使っているとしか思えない。
◇東京都文京区 会社員 大田友記子さん(40)
解散すれば重要な政策や法案の審議が止まるし、選挙はお金もかかる。消費増税先送りが、民意を問う大義とは思えない。「政治とカネ」の問題をうやむやにするための、どさくさまぎれの解散という印象だ。
◇東京都昭島市 地方公務員 安里芳樹さん(57)
景気が回復しなければ消費税は上げない、というのは最初から決まっていたはずで、何のための解散なのか疑問だ。支持率が下がらないうちに、という与党側の保身としか思えない。
◇広島市西区 パート従業員 村上祥康さん(65)
消費増税は社会福祉の財源だったはず。議員定数削減など政治家が改革姿勢を示しているなら納得できるが、意味のない「政治ごっこ」や「陣地争い」に悲しくなる。
◇山口県長門市 医療従事者 沖村恵子さん(59)
買い物先などで経済の落ち込みを感じることは確かにあり、増税前に国民の信を問うことは必要かもしれない。でも「政治とカネ」の問題もありとってつけたように聞こえる。
◇熊本市中央区 飲食店経営 吉村浩一郎さん(71)
総選挙で信任を得て増税をしたいだけではないか。アベノミクス効果は大企業だけで、九州や中小企業に恩恵はない。どうせなら選挙費用を福祉に回してもらいたい。
◇名古屋市熱田区 会社員 沢井仁美さん(29)
解散の理由が全くわからない。会社で人事を担当し、派遣労働関連の法改正を見越して派遣会社との打ち合わせや社内のルール作りなどを進めてきたが、解散で先送りになってしまう。国民の納得なしに勝手なことをしては困る。