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 オバマ米大統領は20日、国内に約1100万人いるとされる不法移民のうち、半数近い約500万人の滞在を3年間認める移民制度改革を発表した。ホワイトハウスで演説し、「大規模な国外退去は不可能で、米国の特徴に反する」などと述べた。議会の法改正を待たずに、大統領の権限で政府機関に直接指示を出す。

 来年から上下両院で多数派となる野党共和党は激しく反発しており、政権運営は苦しくなりそうだ。

 オバマ氏は演説で、改革の方針について「常識であり、中道的な解決策だ」などと述べた。

 米国で生まれて米国籍を得た子どもの親らのうち、国内に5年以上住み、犯罪歴がないなど一定の条件を満たせば、今後3年間、強制退去の対象から外す。国内で正規に働くことが認められ、納税も求められる。一方、国境地帯の警備を強化し、新たな不法移民を厳しく取り締まる方針も打ち出した。

 共和党からは、合法的な移民や移民ビザの発給を待っている人たちに不公平になるとの批判や、米国民の仕事が奪われるといった懸念の声が出ている。党上院トップのマコネル院内総務は「大統領が民意に逆らい、自身の願望を無理強いするなら、議会は行動する」と対決姿勢を強めている。(ワシントン=小林哲)