【社説】無償福祉の虚像を悟った有権者たち

 野党第1党・新政治民主連合の金振杓(キム・ジンピョ)前議員は19日、これまで同党が掲げてきた「新婚夫婦に1軒の家を」という政策スローガンを批判し「実現の可能性が確かで、なおかつ財政の裏付けを伴う政策を提示すべきであり、単なるスローガンを発表するばかりでは野党としての信頼が揺らぐだけだ」と発言した。同じく新政治民主連合の文喜相(ムン・ヒサン)非常対策委員長は18日に開催された寛勲クラブ(韓国人ジャーナリストによる研究・親睦団体)での討論会で「(このスローガンには)無償の『無』の字もない」と指摘しながらも、『新婚夫婦に1軒の家を』という言葉そのものに誤解を招く恐れがあったことを認めた。さらに禹潤根(ウ・ユングン)院内代表も「住宅を無償で与えるわけではなく、賃貸住宅を提供するという意味だ。この点は明確にしておきたい」と述べた。

 新政治民主連合が13日に発表した「新婚夫婦に1軒の家を」という政策スローガンについて、同党はあらためてその真意を明確にしておくべきだろう。ここで重要なことは、執行部が先頭に立って「無償ではない」と弁解を始めている事実だ。2年前の大統領選挙で、与野党は「無償政策」競争に熱を上げた。これは言うまでもなく、相手よりも多くの有権者の心をつかむためだったが、最近はこの「無償」という言葉を軽々しく使いにくい雰囲気に変わってしまったようだ。

 そうなった理由はおそらくこうだ。実際に無償の形で学校給食、保育、基礎年金、大学授業料の半減などの政策を行ってみたところ、政府はもちろん地方自治体も財政的に追い込まれ、それ以外の重要政策を進められない状況に追い込まれた。国民も無償福祉の問題点を理解するようになった。韓国ギャラップが先日行った世論調査によると、学校給食を無償にすることについては国民の66%が「選別して行うべき」と回答し、「全面実施すべき」と回答した31%を大きく上回った。2012年の大統領選挙当時と比較すると、国民の考え方が大きく変わったことが分かる。

 もちろん、実際に「無償」という言葉を使ったところで、金が空から落ちてくるわけではなく、最終的には国民が支払う税金で賄われるのは当然のことだ。ところが政治家たちは、福祉をただで与えるかのように有権者を惑わせた。このように税金を自らの選挙運動に利用するのは、明らかに有権者を買収する行為と言わざるを得ない。

 幸い、今や国民が無償福祉の虚像を理解するに至り、政治家も「無償」という言葉を軽々しく使うことに負担を感じるようになった。それでもかつての無償競争の代償は決して小さくはないが、無償を取り巻く混乱をこの程度の試行錯誤で終わらせることができたとすれば、国家的な次元で考えれば貴重な悟りを得たといえるだろう。

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