敦賀原発:2号機直下、改めて活断層認定 廃炉の可能性も
毎日新聞 2014年11月19日 21時21分(最終更新 11月19日 23時11分)
原子力規制委員会の有識者調査団は19日、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県)の直下を走る断層について、「将来活動する可能性がある」として、改めて活断層と認定する報告書案をまとめた。昨年5月にいったん活断層と認定したが、原電の追加データについて再検討していた。原発の新規制基準では、活断層の真上に重要施設を造ることは許されない。原電が活断層ではない新証拠を提示できなければ2号機は再稼働できず、廃炉に追い込まれる可能性が高くなった。
調査団は昨年5月の報告書で、2号機原子炉建屋直下を通る断層「D−1破砕帯」を「耐震設計上考慮する活断層である」と認定し、建屋から北東約250メートルにある活断層「浦底断層」と同時に動いて地震を引き起こす恐れがあると結論付けた。原電はこの判断に対して昨年7月、「活断層ではない」とする追加調査結果を提出していた。
原電は追加の調査結果で、D−1破砕帯の活動性を改めて否定した上で、D−1破砕帯と浦底断層の間にある「K断層」を調べたところ、活動性を示す証拠がなく、D−1破砕帯が浦底断層と連動して動いた可能性はないと主張した。
新たな報告書案で調査団は、K断層について「地質の状況が悪く、活動年代の確実な判断はできない」と指摘。K断層とD−1破砕帯とが「連続している可能性を明確に否定できない」として、D−1破砕帯が活断層であることを否定できないと判断した。
規制委の石渡明委員は19日の会合で「特に新しいデータが増えたわけではないし、昨年5月の結論を変える必要はない」と述べた。有識者からも異論はなく、報告書案を大筋で了承した。調査団は近く他の専門家からも意見を聞いて正式な報告書をまとめ、規制委に報告する。
原電が今後、2号機の再稼働に向けた安全審査を申請した場合、規制委は一定の審査を行う方針だが、調査団の結論は審査でも覆らない見通しで「合格」は出ないことになる。原電は行政訴訟も視野に入れており、審議を続けるよう求める。原電の市村泰規副社長は報道陣に「一方的な決めつけで事実誤認がある。今後も反論、反証していく」と話した。【鳥井真平】