2014年11月21日13時25分
安倍晋三首相は21日午後、衆院を解散した。首相は午前の閣議で解散を宣言し、全閣僚が解散書類に署名した。解散後の臨時閣議で「12月2日公示、14日投票」の衆院選日程を決める。衆院選は自民党が政権奪還した2012年12月以来2年ぶりで、「アベノミクス」など安倍首相の2年間の政権運営への評価が最大の焦点となる。
首相は、景気低迷を理由に、来年10月に予定していた消費税率10%への再引き上げの1年半延期を表明。自民、公明両党は、生活必需品の消費税率を低くする軽減税率を消費増税と同じ17年度に導入することを目指す方針で一致した。一方、野党は実質賃金の低下や円安による物価高を指摘して「アベノミクスは失敗だ」(民主党)などと批判を強めている。
集団的自衛権行使を認める憲法解釈変更や特定秘密保護法の制定など、第2次安倍政権の約2年間の政権運営や政治手法、原発再稼働などについても争点となる。
自公両党は21日午前の参院本会議で、安倍政権が看板政策に掲げる「地方創生」法を可決、成立させた。野党の民主党や維新の党などは「解散表明後の審議には応じられない」として欠席した。
与党は同日午後の衆院本会議で、専門知識を持つ有期労働者について無期雇用に転換できるまでの期限を延ばす有期雇用労働者特別措置法などを可決、成立させた。
午後1時すぎ、本会議で伊吹文明議長が解散詔書を朗読した。読み上げを終える前に議場から「ばんざい」の声が起こり、伊吹氏は朗読終了後、「ばんざいはここでやってください」と注意を促した。
首相は18日の記者会見で「消費税の引き上げを1年半延期すること、私たちが進めてきた成長戦略を前に進めるかどうか、国民の判断を仰ぎたい」と述べ、増税延期とアベノミクスの是非を争点に設定。勝敗ラインについて、首相は「自公の連立与党で過半数を得られなければ退陣する」と言及したが、与党は全常任委員会で委員長を独占し、全常任委員会で過半数を確保する「絶対安定多数」(266議席)を目指すことで合意した。
野党側は、12年の衆院選で非自民の候補者が乱立して得票が分散し、自民党大勝を招いた反省から、候補者の一本化を進めるなどの対応を急いでいる。
甘利明経済再生相は21日の閣議後会見で解散について「この道しかない解散だ」と述べた。一方、民主党の枝野幸男幹事長は20日の会見で「大義のない身勝手解散」と批判した。
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