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【政治】

アベノミクス 日本の針路 見極める時

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 激動の中で、衆院選が始まる。

 今月十六日に行われた沖縄県知事選では、米軍普天間飛行場の名護市辺野古(へのこ)移設に反対の候補が自民党などが推す現職を大差で破った。

 十七日には七〜九月期の国内総生産(GDP)の速報値が発表され、想定外の「前期比マイナス」の衝撃は世界を駆け巡った。安倍晋三首相が解散を表明したのは、その翌日だった。

 経済政策。安保・憲法。そして原発。二年前の衆院選で首相に就任した安倍氏は、日本の岐路となる三つのテーマについて、安倍路線を一直線に進んできた。

 首相自身が「アベノミクス」と呼ぶ経済政策により、株価などの数値は改善した。一方で人々のくらしの格差は広がりつつある。

 海外での武力行使に道を開く集団的自衛権は、長い間、違憲と解釈されてきたが、国会の議論もほとんどないまま、閣議の決定で行使が認められた。

 原発は再稼働の動きが加速。原発維持の姿勢は鮮明になり、曲がりなりにも脱原発を掲げていた民主党政権から転換した。

 首相は十八日の記者会見でアベノミクスについて「困難な道であろうと、この道しかない」と断言した。安保・憲法や原発政策でも、自身がとってきた「この道」を、進む考えだろう。

 しかし安倍路線は二年前の衆院選で信任を得たわけではない。「三つの岐路」は、今なお賛否が割れている。「三つの岐路」以外に目を転じると安倍政権下では、特定秘密保護法が成立。環太平洋連携協定(TPP)の交渉に参加した。前回衆院選の自民党公約には、秘密保護法制についての記載はなく、TPP参加は、条件付きで反対だった。

 今回の衆院選では、二年間の政権実績が、判断材料になる。郵政民営化の是非を争った二〇〇五年、政権選択に注目が集まった〇九年、民主党政権への失望が選挙戦を包んだ一二年と、最近は、一点に関心が集まる衆院選が続いてきた。しかし今回は違う。安倍政治が、丸ごと問われる。

 安倍首相の「この道」を、そのまま進むのか。それとも、ブレーキをかけて修正するのか。野党が示す「別の道」を選ぶのか。

 日本の今を見極め、その先のあるべき姿を考える日は十二月十四日に来る。

 

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