アダルトコンテンツなのか
2014年11月21日
貧困と性産業の関連を指摘した記事はアダルトコンテンツなのか。政治から文化まで幅広い分野のリポートやインタビューを扱うウェブサイト「SYNODOS(シノドス)」(http://synodos.jp/)に掲載された1本の記事が先月、グーグルの広告配信システムから、「アダルトコンテンツにあたる」と警告を受けた。サイト上に記事を掲載したままなら、広告を配信しないという。シノドスは広告収入が減り、大きな打撃を受けてしまう。
サイトの広告と、評論家の荻上チキさんが編集長を務める月2回の有料メールマガジンがシノドスの収入の柱だ。社会問題を網羅しており、無料で専門家の分析が読め、アクセス数も順調に増加している。指摘を受けた記事は法律に触れることをした少年少女の問題を追いかけるルポライター、鈴木大介さんのインタビュー記事だ(http://synodos.jp/newbook/4612/2)。
シノドスの芹沢一也社長(46)は「(グーグルの)広告配信から得られる収入は少なくない。記事は貧困の現場とその問題を指摘しているもので、アダルトコンテンツにはあたらないと思う。シノドスで重点的に取り上げている性的マイノリティーや『障害者と性』をテーマにした記事もダメだということになってしまうのではないか」と話す。ツイッターで芹沢社長がこの問題をツイートすると「グーグルの規定(https://support.google.com/adsense/answer/4410771)には抵触していない」「(グーグルは)ちゃんと読んでほしい」と擁護する声が寄せられた。
グーグルは取材に対し「一般論としてアダルトコンテンツかどうかは、特定のワードが含まれているかなど、人ではなくアルゴリズムで判断する。表現の自由を尊重しており、ポリシーに従っている」と回答した。
私も多くのユーザーと同様に、記事がアダルトコンテンツなのか疑問を抱いている。広告配信は、シノドスが発信する公共的な言論を経済的に支える仕組みでもある。アルゴリズムによる機械的判断で配信の有無を決めていいのか。問われている問題の根は深い。【石戸諭/デジタル報道センター】