フィルタリング:スマホ普及で子供「外して」利用率初の減

毎日新聞 2014年11月21日 08時23分(最終更新 11月21日 10時28分)

高校生たちがネットの安全や利用について話し合った「高校生ICTカンファレンス」=東京都中央区で2014年10月4日、柴沼均撮影
高校生たちがネットの安全や利用について話し合った「高校生ICTカンファレンス」=東京都中央区で2014年10月4日、柴沼均撮影

 子どもがインターネットを利用する際、有害サイトを見られないようにする対策として「フィルタリング」がある。携帯電話会社などが提供するサービスだ。今年2月の内閣府調査ではフィルタリングの利用率が初めて減少に転じた。官民挙げた普及活動が行われているが、スマートフォン(スマホ)の急速な普及に法律が追いついていない実情があり、家庭や学校での教育が重要だ。

 ◇「LINEしたい」

 横浜市青葉区で10月上旬、地元の社会福祉協議会などが、子どもが安心してネットを使うための講習会を開き、保護者ら約20人が参加した。講師の中島尚樹さん(45)は、子どもから「LINE(ライン)が使えないからフィルタリングを外して」と言われ、求められるままフィルタリングをやめた実例や、子どもが自分で購入できる音楽プレーヤーやゲーム機ではフィルタリングの利用率が低いことなどを紹介した。

 その上で、中島さんは「子どもは好奇心が旺盛だが社会経験が乏しく、トラブルに巻き込まれやすい」と指摘し、子どもと一緒にルールを作ることや、ネットを使う場合は、よく考えた上で利用しなければならないことを訴えた。「子どもの方がネットに詳しくて口出しできないという保護者もいるが、子どもが自分で判断できるまで親がフィルタリングなどでコントロールすることが重要」と話す。

 ◇スマホ対応、後手に

 フィルタリングは2008年に制定された「青少年インターネット環境整備法」で規定された。携帯電話会社は18歳未満の青少年が利用する携帯電話に保護者が不要と申し出ない限りフィルタリングを提供しなければならない。しかし、スマホの普及で、LINEなど新しいサービスが出てきたうえ、音楽プレーヤーやゲーム機でもネット接続ができることから、携帯電話会社が提供するサービスだけでは対応ができなくなった。参入する事業者が相次ぐ格安スマホでどうなるかも不明確だ。

 このため、内閣府の検討会は年内に青少年とネットに関する新しい行動計画案をまとめる予定で、委員から同整備法の改正を求める意見も出ている。しかし、通信の自由との兼ね合いや、新しい技術は今後も次々に登場していくことから、どこまで対応できるかは不透明。検討会委員の一人、国分明男・インターネット協会副理事長は「フィルタリングを入れれば解決という考えは限界にあるのではないか。ネットの正しい知識を持つことが重要」と話す。

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