妻が子育てに関する講演会に行ってきて,その際に印象に残った話を教えてくれましたので,皆さんにもご紹介します。
その講演会で印象に残った話というのはいじめの話で,親に自分がいじめられていることについて話せない子どもが多いとのことです。私自身も親には話すことができなかったので,その気持ちはよく分かるのですが,そこで次のようなエピソードを話してくれたそうです。
あるシングルマザーのお母さん。自分が一生懸命働いていても生きていくのがつらい。それまで子どもの前で気丈に振る舞っていたのに,ついに子ども前でお母さんは辛いと泣いてしまったそうです。そうしたら子どもが「私も…」と背中を見せました。そこには鉛筆で刺された無数の傷の跡があったそうです。一部は膿んでいました。どうやら後ろの席の子に毎日鉛筆で刺されていたようです。
そんな状態ですから,とても背中が痛かったはずです。でも子供は黙っていたのです。頑張っているお母さんに心配をかけまいとして…。それを見てお母さんはそのいじめを止めさせるために学校に掛け合って子どものために努力したそうです。
この話を聞いて親が完璧であろうとする必要なんてないよなと改めて思ったわけです。むしろ親が完璧であろうとするがゆえに,子供を辛い状況に追い詰めることもあるんですね。そう言えば以前,以下のような記事も読みました。
さて、前述の「マイナスな感情を伝える」に関係して、先輩ママから聞いたエピソードを思い出した。
その先輩ママは、幼いころから「笑顔でいれば周りに迷惑をかけない」と考えていた気遣いのタイプ。大人になっても、辛いときや悲しいときなどは、誰かに伝えることをせず、自分のなかに溜め込みがちだった。
彼女の小学一年生の息子は、家計を気遣ってか、会費が高いサッカー教室に入りたいと伝えることができなかった。隠し持っていたサッカー教室のチラシに気がついた彼女は、ショックを受けた。
「自分が正直な感情を伝えていないから、子どもも素直に話せないのかもしれない」
そう感じた彼女は、辛いときは辛い、悲しいときは悲しいなどの感情を言葉で伝えるようにしていった。そうしたら、子どもは段々と自分の気持ちを伝えてくれるようになったのだという。
親のマイナスな感情を子どもに伝えるということ : MAMApicks -子育て・育児・教育ニュース&コラムサイト-
この記事は上記の話と同じですよね。親が頑張って弱い部分を見せなければ子供も見せません。弱い自分が恥ずかしいと思ってしまいます。そう言えば私が親に話せなかったのも親に相談しても無駄だと思ったのも確かだけど,いじめられていると親に話すのが恥ずかしかったというのがあるのかもしれません。父親が特に強くて怖い人ですから。
まだ「いじめゼロ」とか言ってるんですか? - いつか朝日が昇るまで
妻もシングルマザーの家庭で育っているので,お母さんに迷惑をかけたくないという気持ちを強烈に持っています。だからこういう講演を聞いて,自分はそんなに完璧な親になる必要はないんだと人に育児の辛いことや大変なことを話しています。
日本でもNP(Nobody Perfect)講座というのがあって,以下の本を教材にして講座が開かれていて,そこでは親だから完璧であろうとする必要はないということをみんなで話し合っているんですね。言われて見ると当たり前のことなのですが,私達は立派な親であろうとし,また立派な親であることを要求しすぎているのかもしれません。
【完ぺきな親なんていない】子どもの感情・親の感情――子どもの気持ちにどうこたえてあげたらいいの?
- 作者: カナダ・公衆衛生局,Nobody’s Perfect Japan(原田正文代表),幾島幸子
- 出版社/メーカー: 遠見書房
- 発売日: 2010/01/30
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NPプログラム「完璧な親なんていない!」10年の歩み―失敗から学ぶこれからの子育て支援
- 作者: 三沢直子,河津英彦
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もしかしたら、親が自らのマイナスな感情を言葉で伝えられることは、子どもだけでなく親自身にとってもよいことなのかもしれない。そして、マイナスな感情を本音で語る親を見ていれば、子ども自身も気持ちを語りやすくなり、本当のSOSに遭ったときでも伝えやすくなるのではないか。
親になったからといって、よい感情ばかり持つわけでない。
親である前に、ひとりの人間。プラスの感情もあれば、マイナスの感情もある。マイナスな感情を冷静に言葉で伝えたい。我が子のためにも、自分のためにも。
親のマイナスな感情を子どもに伝えるということ : MAMApicks -子育て・育児・教育ニュース&コラムサイト-
自分は強がりだから子どもにマイナス感情を伝えることができるかどうか分かりませんが,自分が強い親,完璧な親であろうとする必要はないんだと思って,日々子どもに接していきたいと思います。というか,すでに息子は私のことを完璧な親だなんて思っていないのかもしれませんが…。