僕は投資の世界の人間なので、アベノミクスのような試みには基本、好意的です。
しかし……
アメリカで量的緩和政策が成功したからと言って、それが日本でも成功するか? と言えば、所与の条件に大きな差があることを痛感せずにはおれません。
詰まる所、アベノミクスって、資産価格を煽って、デフレを退治する「博打」だと思うんです。
座して死を待つより、打って出る方を選ぶ……そういう勇ましい選択です。
でもリーマンショック後、アメリカが量的緩和政策をしたとき、住宅価格はハッキリ言ってぼちぼち程度しか戻らなかったし、期待された住宅着工とかは、未だお寒い水準です。

株が戻ったからこそ「SUCCESS!」と得意顔をしているわけだけど(笑)、住宅は未だペケなので、若し株が戻ってなかったら、悲惨なコトになってたかも知れない。
因みにアメリカという国は株が高い日はマンハッタンの五番街を歩く買い物客の足取りも軽くなるような国で、毎日、ダウの上げ下げに一喜一憂するようなお国柄なのです。
まあ、そういうと異論も出るでしょうから、データで示します。
まずアメリカの世帯の46.3%が投資信託(平均して3本)を持っていて、そのメジアン投信資産額は1,182万円です。典型的なアメリカの世帯の金融資産(持家を除く)の22%を投信が占めています。
投信残高で言うと、こういうコトです。

米国民の68%が投信に対して好意的な意見を持っています。(ICIによる2013年の意識調査)
しかし……
アメリカで量的緩和政策が成功したからと言って、それが日本でも成功するか? と言えば、所与の条件に大きな差があることを痛感せずにはおれません。
詰まる所、アベノミクスって、資産価格を煽って、デフレを退治する「博打」だと思うんです。
座して死を待つより、打って出る方を選ぶ……そういう勇ましい選択です。
でもリーマンショック後、アメリカが量的緩和政策をしたとき、住宅価格はハッキリ言ってぼちぼち程度しか戻らなかったし、期待された住宅着工とかは、未だお寒い水準です。
株が戻ったからこそ「SUCCESS!」と得意顔をしているわけだけど(笑)、住宅は未だペケなので、若し株が戻ってなかったら、悲惨なコトになってたかも知れない。
因みにアメリカという国は株が高い日はマンハッタンの五番街を歩く買い物客の足取りも軽くなるような国で、毎日、ダウの上げ下げに一喜一憂するようなお国柄なのです。
まあ、そういうと異論も出るでしょうから、データで示します。
まずアメリカの世帯の46.3%が投資信託(平均して3本)を持っていて、そのメジアン投信資産額は1,182万円です。典型的なアメリカの世帯の金融資産(持家を除く)の22%を投信が占めています。
投信残高で言うと、こういうコトです。
米国民の68%が投信に対して好意的な意見を持っています。(ICIによる2013年の意識調査)
これは(株や投信は胡散臭い)と考えがちな日本人とは、大きな違いです。
アメリカで投信が普及しているひとつの理由は確定拠出型年金(例:401k)の中身を見た場合、その60%が投信で構成されていることによります。IRAで株や投信を買うこともポピュラーです。
つまりアメリカの年金のうち、半分以上は「会社任せ」とか「国任せ」ではなく、国民ひとりひとりが当事者意識をもって運用している年金だということ。

投信は米国株の29%を持っているほか、コマーシャルペーパーの45%、ミュニシパル・ボンドの25%を保有しており、これらの主体に対する「資金の出し手」として重要な役目を果たしています。
アメリカのミューチャルファンドの資産の内訳は下のパイチャートのようになっています。

このことからも、株が上がると国民のムードが良くなる理由がわかると思います。
日頃からリスクをとることに慣れている国民性だから、量的緩和政策みたいな美味しいチャンスが到来したら「据え膳喰わぬは男の恥」的に、出動するわけです、アメリカ人は。
米国の世帯の調査では43%が「リスクを取りたくない」と回答する一方で21%が「かなりのリスクをとってもよい」と答えています。(出典:ICI)

日本人の資産運用といえば、もっぱら銀行預金です。
銀行に預けたお金は、異次元緩和しても何のメリットもこうむりません。
だから「アメリカで量的緩和政策が結局成功したのだから、日本だってそのうちじわじわ来るだろう」と考えるのは、ひょっとして甘いかも知れないのです。
ましてや日本は老齢化が進んでおり、じいさん、ばあさんばっかりの国になっています。(僕もじいさんですがwww)
シニア層は収入が細るわけだから、借金して新しい家なんか買うべきじゃないんです。
つまり人口動態的に日本は不動産市場にアゲンストの風が吹いているし、株は騰がると思うけど、大半の国民は「笛吹けど踊らず」ですよ。
株を持っている一握りの「ジュリアナ世代の生き残り」がほくそえんでオシマイ。あとは格差拡大が残るのみ……
アメリカのように、国民の隅々まで行き渡る、株高の「ちいさな幸せ」による消費刺激効果は、日本では期待薄ですね。
あ、それからアメリカにはもうひとつどえらいフォローの風が吹いています。それはエネルギー価格の下落です。
アメリカは原油を原則、輸出できないので、シェールで余る原油は国内でのガソリン価格安や、製造業の競争力UPにもろに跳ね返ってきています。

でも日本の場合、カタールから長期契約で高い液化天然ガスを買わされている関係で、エネルギー・コストは余り下がっていません。
それどころか最近の円安で輸入するエネルギーのコストは逆に上昇する圧力が働きます。
昨今のコモディティ価格の下落は、日本にとっても幸運でした。若しこれでエネルギー価格が上昇でもしていたら、資源の無い日本は、目も当てられない状況になっていたかも。
ところで僕、思うんですけど、自国通貨安で輸入エネルギーの価格が高騰し、国民が苦しむというのは、インドとかの新興国に多いパターンなんですね。
新興国の国民の多くは株式市場とは無縁なので、資産効果の恩恵に浴せないわけで……してみると日本という国は、アメリカに似ているというより、インド型だな、こりゃ。
(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack)
【お知らせ】
Market HackのFacebookページに「いいね」することで最新記事をサブスクライブすることができます。
これとは別にMarket Hack編集長、広瀬隆雄の個人のFacebookページもあります。こちらはお友達申請を出して頂ければすぐ承認します。(但し本名を使っている人のみ)
相場のこまごまとした材料のアップデートはMarket HackのFacebookページの方で行って行きたいと考えています。
アメリカで投信が普及しているひとつの理由は確定拠出型年金(例:401k)の中身を見た場合、その60%が投信で構成されていることによります。IRAで株や投信を買うこともポピュラーです。
つまりアメリカの年金のうち、半分以上は「会社任せ」とか「国任せ」ではなく、国民ひとりひとりが当事者意識をもって運用している年金だということ。
投信は米国株の29%を持っているほか、コマーシャルペーパーの45%、ミュニシパル・ボンドの25%を保有しており、これらの主体に対する「資金の出し手」として重要な役目を果たしています。
アメリカのミューチャルファンドの資産の内訳は下のパイチャートのようになっています。
このことからも、株が上がると国民のムードが良くなる理由がわかると思います。
日頃からリスクをとることに慣れている国民性だから、量的緩和政策みたいな美味しいチャンスが到来したら「据え膳喰わぬは男の恥」的に、出動するわけです、アメリカ人は。
米国の世帯の調査では43%が「リスクを取りたくない」と回答する一方で21%が「かなりのリスクをとってもよい」と答えています。(出典:ICI)
日本人の資産運用といえば、もっぱら銀行預金です。
銀行に預けたお金は、異次元緩和しても何のメリットもこうむりません。
だから「アメリカで量的緩和政策が結局成功したのだから、日本だってそのうちじわじわ来るだろう」と考えるのは、ひょっとして甘いかも知れないのです。
ましてや日本は老齢化が進んでおり、じいさん、ばあさんばっかりの国になっています。(僕もじいさんですがwww)
シニア層は収入が細るわけだから、借金して新しい家なんか買うべきじゃないんです。
つまり人口動態的に日本は不動産市場にアゲンストの風が吹いているし、株は騰がると思うけど、大半の国民は「笛吹けど踊らず」ですよ。
株を持っている一握りの「ジュリアナ世代の生き残り」がほくそえんでオシマイ。あとは格差拡大が残るのみ……
アメリカのように、国民の隅々まで行き渡る、株高の「ちいさな幸せ」による消費刺激効果は、日本では期待薄ですね。
あ、それからアメリカにはもうひとつどえらいフォローの風が吹いています。それはエネルギー価格の下落です。
アメリカは原油を原則、輸出できないので、シェールで余る原油は国内でのガソリン価格安や、製造業の競争力UPにもろに跳ね返ってきています。
でも日本の場合、カタールから長期契約で高い液化天然ガスを買わされている関係で、エネルギー・コストは余り下がっていません。
それどころか最近の円安で輸入するエネルギーのコストは逆に上昇する圧力が働きます。
昨今のコモディティ価格の下落は、日本にとっても幸運でした。若しこれでエネルギー価格が上昇でもしていたら、資源の無い日本は、目も当てられない状況になっていたかも。
ところで僕、思うんですけど、自国通貨安で輸入エネルギーの価格が高騰し、国民が苦しむというのは、インドとかの新興国に多いパターンなんですね。
新興国の国民の多くは株式市場とは無縁なので、資産効果の恩恵に浴せないわけで……してみると日本という国は、アメリカに似ているというより、インド型だな、こりゃ。
(文責:広瀬隆雄、Editor in Chief、Market Hack)
【お知らせ】
Market HackのFacebookページに「いいね」することで最新記事をサブスクライブすることができます。
これとは別にMarket Hack編集長、広瀬隆雄の個人のFacebookページもあります。こちらはお友達申請を出して頂ければすぐ承認します。(但し本名を使っている人のみ)
相場のこまごまとした材料のアップデートはMarket HackのFacebookページの方で行って行きたいと考えています。