夫殺害容疑で逮捕、自宅周辺の押収物から青酸化合物検出

TBS系（JNN） 11月20日(木)10時13分配信

　京都府向日市で夫を殺害した疑いで逮捕された筧千佐子容疑者（６７）。その自宅周辺で押収されたものから青酸化合物が検出されていたことがわかりました。青酸化合物は、一般の人は買えない猛毒で、微量を摂取するだけで死亡します。これは有力な証拠となるのでしょうか。

　夫に青酸化合物を与え、殺害した疑いで送検される筧千佐子容疑者（６７）。青酸化合物をカプセルなどに包んで飲ませた疑いが強まりました。

　「私が毒を手に入れる手段はない。『どないして手に入れるんですか』と言いたい。真実は一つと思ってる」（筧千佐子容疑者　今年３月）

　千佐子容疑者は去年１２月、２か月前に結婚した夫の勇夫さん（当時７５）に自宅で青酸化合物を与えて殺害したとして、１９日、逮捕されました。取り調べに対し、一貫して容疑を否認しています。

　警察は容疑の裏づけを進めるため、２０日朝から関係先の捜索を行いました。その後の警察の調べで、千佐子容疑者の自宅周辺で押収されたものの中から、微量の青酸化合物が検出されていたことがわかりました。

　また、司法解剖の結果、勇夫さんの胃には、青酸でただれた痕があったものの、口の中やのど、食道には、そのような痕がなかったといいます。このため警察は、千佐子容疑者がカプセルなどに包んで青酸化合物を飲ませた疑いが強いと見ています。

　青酸化合物をめぐっては、千佐子容疑者と交際し、おととし３月、交通事故で亡くなった大阪府の本田正徳さん（当時７１）の血液からも検出されています。青酸化合物を一般の人が入手することは可能なのでしょうか。

　「（青酸化合物を買うのは）ほとんどが商社や卸売業者。一般の人が買うのは難しい」（大阪市　植原一嘉薬物担当課長）

　一方、千佐子容疑者は事件直前の去年１２月中頃に自宅近くの薬局を訪れ、睡眠薬を手に入れようとしていたことが新たにわかりました。

　「睡眠薬を売ってください」（千佐子容疑者）
　「処方箋がないと売れません」（店員）
　「意味が分からない」（千佐子容疑者）

　そこで店員が処方箋の必要がない不眠症などにきく漢方薬を勧めたところ、購入したといいます。

　「誰が飲まれるんですか？」（店員）
　「旦那が飲む」（千佐子容疑者）

　勇夫さんの体内からは青酸化合物以外に、この漢方薬にも使われている成分が検出されているといいます。警察は、千佐子容疑者が勇夫さんに漢方薬を飲ませた後、青酸化合物を与えた可能性もあると見て慎重に捜査を進めています。

　今から２０年ほど前に最初の夫と死別した千佐子容疑者。その後、千佐子容疑者の周辺では、青酸化合物が見つかった２人以外にも、結婚相手や交際相手の男性、合わせて４人が死亡しています。

　結婚した後は、２番目の夫がおよそ２年後に、３番目と４番目の夫は、いずれも１、２か月後に亡くなっています。２番目の夫と千佐子容疑者を知る人は当時から不審に思っていたといいます。

　「何でそんな簡単に死んだのか。脳梗塞で倒れて車いすで生活して、その後、だいぶ元気になってたから。何かおかしい、違うって、みんなそう言っていた」（千佐子容疑者と２番目の夫を知る人）

　一方、千佐子容疑者は・・・。

　（４人の夫以外にも知り合いが亡くなったが？）
　「それはないです。私も聞きましたよ、村の人から。それはあまりにもひどすぎますわ。そこまで言うか」（筧千佐子容疑者　今年３月）

　千佐子容疑者のまわりで次々と不審な死を遂げた男性たち。千佐子容疑者とは、どのようにして出会ったのでしょうか。血液から青酸化合物が発見された筧勇夫さん（当時７５）と本田正徳さん（当時７１）。そして３番目の夫など少なくとも３人が千佐子容疑者と知り合ったのは結婚相談所でした。千佐子容疑者は、およそ５年前から奈良県内の結婚相談所に加入していたといいます。

　「（千佐子容疑者は）先のことを考えて再婚したいからと。（条件は）やっぱりおうちのある方。年齢は１０歳差くらいまで」（結婚相談所の運営者）

　この結婚相談所で知り合ったのが、およそ２０年前に前の妻と死別し、一人暮らしをしていた筧勇夫さんでした。

　「（お見合いは）去年６月の末」（結婚相談所の運営者）
　（Ｑ．千佐子容疑者からは？）
　「感じのいい方だから交際しますと」

　２人は知り合ってから４か月で結婚。ところが、その生活はあまりにも短いものでした。勇夫さんが結婚２か月足らずで死亡したのです。大阪府の本田さんも前の妻を亡くし、再婚相手を熱心に探していたといいます。

　「（本田さん）結婚願望はすごかった。結婚相談所とか４か所くらい行っていた」（本田さんの知人）

　そして、千佐子容疑者と知り合いました。

　「８月に会って、その１１月に結婚するんだと報告を受けて、それで明くる年の３月９日に（本田さんは）死んでいる。人間って、そんなあっけなく命を落とすはずはないと」（本田さんの知人）

　（Ｑ．これまでに結婚した男性は千佐子容疑者のどこに魅力を？）
　「しつこくなく、物にこだわらないとか、あっさりしているとか、面白いとか」（筧千佐子容疑者　今年３月）

　相次ぐ夫や交際相手の死。警察は今後、青酸化合物の入手ルートの解明などを進める方針です。（20日23:36）