対象OS:Windows 7/Windows 8/Windows 8.1
再利用したい退社した人のPCや前の管理者が管理していた共有PCなどのパスワードが分からなくなり、仕方なくWindows OSを再インストールする羽目になった、という経験を持つ人もいることだろう。実は、パスワードが分からなくなっても、ちょっとした操作でパスワードの再設定ができる。ただし悪用は厳禁である。他人のPCに対して「許可」なく、以下の方法でログオン(サインイン)する行為は犯罪となる。以下、Windows 7での操作を例に紹介するが、Windows 8/8.1でもまったく同じ手順でパスワードの再設定が可能だ。
パスワードを再設定するには、ちょっとした裏技(?)を利用する。Windows 7/8/8.1のログオン(サインイン)画面の左下にある[コンピュータの簡単操作]アイコンをクリックした際に、コマンドプロンプトが起動されるように細工するのだ。
まずパスワードを忘れてしまったPCを、Windowsセットアップメディア(Windows OSのインストール用DVDか、それをUSBメモリなどにコピーしたもの。関連記事参照)で起動する。パスワードを再設定したいWindows OSのシステムファイルを書き換えるためなので、インストールされているOSバージョンである必要はない(評価版のWindows OSでも可能だし、ハードディスクをマウントしてファイルの操作が行えるのであればLinuxでもよい)。セットアップ画面([Windowsのインストール]ダイアログ)が開いたら、[Shift]+[F10]キーを押し、コマンドプロンプトを開く。
以下のコマンドを実行し、utilman.exeをバックアップした後、コマンドプロンプトの実行ファイル(cmd.exe)をutilman.exeにコピーする。なお、ここではWindowsのシステムファイルがD:ドライブに存在するとしている。
X:¥Sources>d:
D:¥>cd ¥windows¥system32
D:¥Windows¥System32>ren utilman.exe utilman.org
D:¥Windows¥System32>copy cmd.exe Utilman.exe
1 個のファイルをコピーしました。
D:¥Windows¥System32>exit
Windowsセットアップメディアを取り外し、ダイアログの右上の「×」をクリック、インストールを取り消してから、Windows OSを再起動する。
ログオン(サインイン)画面が表示されたら、右下の[コンピュータの簡単操作]アイコンをクリックする。すると、[コンピュータの簡単操作]ダイアログではなく、上記の操作によりUtilman.exeにリネームしたコマンドプロンプト(cmd.exe)が実行される。
ここで以下のコマンドを実行して、Administratorや既存のユーザーに対して新しいパスワードを設定する。この際、設定済みのパスワードは確認されないので、パスワードを忘れてしまったユーザーに対しても、新しいパスワードが設定できる。
C:¥Windows¥System32>net user
¥¥ のユーザー アカウント
---------------------------------------------------------------
Administrator Test Guest
エラーでコマンドが終了しました。
C:¥Windows¥System32>net user <ユーザー名> <新しいパスワード>
コマンドは正常に終了しました。
Windows 8/8.1でMicrosoftアカウントでサインインしている場合、この方法でMicrosoftアカウントのパスワードは変更できない。本人がパスワードを忘れた場合は、以下のMicrosoftアカウントの[パスワードのリセット]ページを開き、指示に従ってMicrosoftアカウント名やCAPTCHAを入力すると、パスワードリセット用のリンクが、アカウント作成時に指定したメールアドレスに送られるので、メールに記載されたリンクを開き、新しいパスワードを設定すればよい。
他人のMicrosoftアカウントが設定されている場合、[コンピュータの簡単操作]アイコンをクリックしてコマンドプロンプトが開いた後、以下のコマンドを実行して、Administratorアカウントを有効化、パスワードを設定すればAdministratorアカウントでサインインできるようになる。その後、別のサインイン・アカウントを作成するなどすればよい。
C:¥Windows¥System32>net user Administrator /active:yes
コマンドは正常に終了しました。
C:¥Windows¥System32>net user Administrator <パスワード>
コマンドは正常に終了しました。
パスワード設定後、右下にある[電源]アイコンをクリックし、メニューから[再起動]を選択して、Windows 8/8.1を再起動する。
再起動後、[サインイン]画面でのユーザー名の左側に矢印が表示されるので、ここをクリックする。ユーザーの選択が行えるので、Administratorを選択、先ほど設定したパスワードを入力してサインインする。これでWindows 8/8.1の操作が可能になるので、必要なファイルをコピーしたり、新しいアカウントを追加したり、パスワードが分からないMicrosoftアカウントを削除したりといった作業を行えばよい。
[A]
設定が終わったら、再びWindowsセットアップメディアでPCを起動し、書き換えたUtilman.exe(cmd.exeをコピーしたもの)を削除し、リネームしたUtilman.orgを元に戻しておくとよい。
このようにそれほど難しい操作を行わなくても、簡単にパスワードの再設定が行える。パスワードを忘れてしまったPCを救済する方法として有効な半面、セキュリティ面では大いに不安の残る仕様(?)となっている。パスワードが設定されているからといって安心できないことがお分かりいただけただろう。ノートPCなど、簡単に盗まれたり、忘れたりしてしまうようなもののは、ハードディスク全体を暗号化しておくなど、セキュリティを高める工夫をした方がよい。
■この記事と関連性の高い別の記事
Copyright© 1999-2014 Digital Advantage Corp. All Rights Reserved.